広島キラーが無残KO、阪神バッテリーが犯した"過ち" 専門家も疑問「どうなんだろう」
■広島 9ー2 阪神(12日・マツダスタジアム)
【PR】掛布氏が絶賛した阪神7月のベストプレー3候補 森下の“神の手”生還は「説明できません」首をかしげざるを得ない配球だった。阪神は12日、マツダスタジアムで広島に2-9で敗戦。3連勝を逃し、マジックは28のまま足踏みとなった。先発の大竹耕太郎投手が3回、エレフリス・モンテロ内野手に逆転3ランを被弾。今季4戦4勝と相性が良かった相手に4回0/3で7失点KOされ2敗目を喫した。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、痛恨の一発を浴びたモンテロへの配球を疑問視。同じ変化球を続けた坂本誠志郎捕手のリードに苦言を呈した。
「ちょっと球を揃えすぎた部分がありましたね。なんといっても痛かったのはモンテロの3ラン。チェンジアップを3球続けましたから」。そう振り返ったのは2点を先制した直後の3回。1点差に迫られ、なお2死一、二塁の場面だ。
大竹が投じた初球のチェンジアップは外角に外れてボール。2球目の外寄りのチェンジアップは左翼ポール際への特大ファウルで冷や汗をかかされた。続く3球目も同じような外寄りのチェンジアップ。やや体勢を崩されながらも、捉えられた打球は左翼フェンスを越えていった。
試合をひっくり返され、流れが大きく変わった一撃。この試合の直球の最速が139キロだった大竹は、そこまでスライダーやカットボール、80キロ台のスローボールも駆使しており、野口氏は「使えるボールは全部使って、的を絞らせないタイプの投手」と分析する。
それだけに同じようなコースに同じ球種を続けたことに首をかしげる。「坂本が裏をかきにいったのでしょうね。それまであまりなかった攻め方でしたから。でも、どうなんだろうと感じました。モンテロは少し泳がされていたけど、緩い球を3球続けたら、そりゃあ打たれます。ああいう結果になったら駄目ですよ。反省すべきです」と猛省を促した。
通算13勝1敗だった広島キラーが7失点KO
プロ10年目の坂本は、既に自己最多を上回る85試合に出場。首位を走るチームを支えているが、野口氏は「続け球が多いキャッチャー」だと見ている。「以前から、そういう傾向が見られます。多く試合に出ているとある程度のパターンが出てくるのは仕方がない。走者がいない時などは、同じ球を続けちゃいけないことはないんですけど、続けていかない方がいいケースもある。それが、ああいうピンチの場面です」と慎重にいくべきだったと説明した。
初回は3者凡退。2回まで無失点と上々の立ち上がりを見せていた左腕は、新外国人のモンテロには5月17日に甲子園で来日1号を許していた。今季は広島に4戦4勝、通算でもここまで13勝1敗とカモにしていたが、この試合の2回にも左前打を放っていたモンテロからしてみると苦手意識はなかったのかもしれない。
4回は3者凡退と立ち直ったかに見えたが、5回は1死も奪えぬまま3失点して降板。「序盤は真っすぐでカウントを稼いで、抜き球を使ったりスライダーを曲げてみたりして、うまく投げていました。ただ、ホームランが出た後はカウントを取りに来る真っすぐ系のファーストストライクを広島に捉えられて攻略されました」。広島キラーがまさかの乱調で完敗。チームの9失点は今季ワーストだった。
(尾辻剛 / Go Otsuji)