アングル:金が3200ドル突破、貿易戦争激化で逃避買い

 4月11日、米中貿易戦争の激化により世界の金融市場が動揺しているため、安全資産とされる金(ゴールド)に資金が逃避し、金現物価格は、1オンス=3245.28ドルと過去最高値を更新した。ドバイで3月14日撮影(2025年 ロイター/Amr Alfiky)

[11日 ロイター] - 米中貿易戦争の激化により世界の金融市場が動揺しているため、安全資産とされる金(ゴールド)に資金が逃避し、金現物価格は11日、1オンス=3245.28ドルと過去最高値を更新した。

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地政学的な不透明感、中央銀行による需要、金を裏付けとする上場投資信託(ETF)への資金流入が相まって、金は1月から約23%上昇している。

ウィズダムツリーのコモディティー・ストラテジスト、ニテシュ・シャー氏は「金が1オンス=1000ドルから2000ドルに上昇するのには14年を要したが、2000ドルから3000ドルへの上昇には1年強しかかからなかった」とし、「あと800ドル上げて4000ドルを超えることも、もはや夢物語ではなくなった」と語った。

第1・四半期の金ETFへの資金流入は226.5トン、211億ドル相当で、ロシアがウクライナに侵攻した2022年第1・四半期以来で最高となった。

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「サクソ・バンクのコモディティー・ストラテジー責任者、オール・ハンセン氏は「世界経済の緊張の高まり、スタグフレーション(雇用・成長の減速とインフレ上昇の同時進行)のリスク、ドル安の組み合わせが、金を支え続けるだろう」と予想した。

足元の金価格急騰は、ドルが約3年ぶりの水準に下がったことも原因だ。ドル安は、他の通貨の保有者にとって投資先としての金の魅力を高める。

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昨年は中東と欧州で地政学的な混乱が強まったことから、安全資産である金に資金が流入して金は2010年以来で最高の上昇率を記録した。

ストーンXのアナリスト、ローナ・オコネル氏は「12月以来渦巻いている要因は変わらない。つまり政治の緊張が続いていること、特にホワイトハウスの政策が予測不可能であることだ」と語った。

第1・四半期に金は1986年9月以来で最大の四半期上昇率を記録し、今年に入って既に23回も過去最高値を更新している。

アナリストは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待も金価格を支え続けるとみている。

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