ローマ教皇レオ14世、トランプ大統領を強く批判 移民政策や船舶攻撃に言及
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キリスト教カトリックのローマ教皇レオ14世は4日、アメリカにおける移民の扱いについて「深い内省」を求めると述べた。また、同国で多くの人々が、ドナルド・トランプ米大統領による大規模な国外追放という物議を醸す政策に深く影響を受けていると述べた。
史上初のアメリカ出身の教皇であるレオ14世はまた、麻薬を運搬している疑いがあるヴェネズエラの船舶に対するアメリカの爆撃が、カリブ海地域での緊張を高める危険性があると警告した。
教皇は就任以来、トランプ大統領のさまざまな政策を批判してきたが、今回はこれまでで最も強い言葉を使った。
ローマ郊外の教皇別荘の外でテレビカメラの前に姿を現し、「いくつかの質問に答える」と述べたレオ14世は、アメリカで「何年も問題を起こすことなく暮らしてきた人々」が、トランプ大統領の強硬な移民政策によって「深く影響を受けている」と語った。
教皇は、英語で話し、アメリカの視聴者に直接語りかける形で、すべてのキリスト教徒は最終的に「異邦人をどのように迎え入れたか」によって裁かれるという、カトリックの信仰を改めて強調した。
カトリック史研究者のオースティン・アイヴァレイ氏はBBCに対し、「教皇の発言が非常に直接的なことに驚いた。明らかに米移民税関捜査局(ICE)による一斉摘発について語っている」、「これは非常に強い発言だ」と述べた。
5月の選出直後、レオ14世の地政学に関する発言は慎重なものだった。しかし先月、トランプ氏主導による移民取り締まりに対して「非人道的」という言葉を用いたことが、同教皇を「アメリカ人教皇」として受け入れていた、アメリカの保守派カトリック教徒たちを動揺させた。
前出のアイヴァレイ氏は、「保守派のカトリック教徒たちは今、教皇が自分たちのために教義を変えるつもりはないという事実に目を覚ましつつある」と述べた。
「レオ14世とフランシスコでは流儀が大きく違うことは理解しているが、教義と優先事項は同じだと気づいている。レオ14世はまさに、前任者と地続きなのだ」
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シカゴ生まれのレオ14世(本名、ロバート・プレヴォスト)は、ペルーで司祭として働いた期間が長く、その経験が自身の姿勢にも影響を与えている。
「この問題は、教皇にとって個人的に重要なものだと思う」と、英ダラム大学のアンナ・ローランズ教授は述べた。「教皇は、こうした政策の影響を受けた国々に住み、自身も移民として受け入れられてきた。教皇は事実上、移民の司教だった」
先月発表された初の主要文書において、レオ14世は、貧困と移民の問題が自身の教皇職の中心に据えられ続けると述べた。教皇は、最近ヴァチカンで行われたアメリカの司教らとの会合でも、そのメッセージを強調した。
「教皇は、移民問題に対して完全に正統的な対応を示している」、「まっすぐな姿勢だ」と、ローランズ教授は指摘した。
教授によると、レオ14世は、家族が一緒に暮らす権利の保障や、精神的な支援の保護を含む、100年以上にわたるカトリック教会の伝統に基づいて発言しているという。
教皇自身も、シカゴ近郊の移民収容施設で、収容者が聖体拝領を禁じられていると報じられた件について記者団から質問を受けた際に、その点を強調した。ICEによる一斉摘発の対象となっている人々の多くは、アメリカ大陸出身のカトリック信者だ。
教皇はこの時、「当局には、司牧者がそうした人々の支援にあたることを認めるよう、ぜひお願いしたい」と述べた。
トランプ政権がヴェネズエラの船舶を標的とし、乗組員を殺害する政策を取っていることについては、教皇は対話と冷静さを求めた。
「暴力では勝てないと思う」と、教皇はイタリア語で語った。
また、米海軍の艦船がヴェネズエラ近海に展開されていることが、「平和を守る」どころか緊張を高めていると示唆した。
予想外の選出から半年が経過し、レオ14世の教皇職の輪郭が次第に明らかになりつつある。教皇フランシスコが避けていた別荘訪問を習慣としていることも、新たな透明性をもたらしている。記者たちは長年、教皇が海外訪問するとき以外、カトリック教会の最高指導者に質問を投げかける機会を得ることができなかった。
「教皇がこのように明確に発言すると、アメリカ政権、特にカトリック信者を自認する人々に対して圧力がかかる」と、アイヴァレイ氏は述べた。
「これまでのところ、レオ14世はトランプ陣営全体に巻き込まれることを避けてきた。だが、今まさにそのリスクを取ろうとしているのかもしれない」