今年のハロウィン、都内の繁華街は? 警戒で客離れ不安 外国人の迷惑行為が新たな課題に

ハロウィーンを週末に控えた東京・渋谷では、「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」と書かれた看板や旗が多く見られた=29日午後、東京都渋谷区(酒井真大撮影)

ハロウィンの31日は金曜日にあたり、東京都内の繁華街で多くの人出が予想される。過去のトラブルから規制が続く渋谷センター街では警戒の一方、客離れに不安の声も出るようになった。近年、ハロウィンの人出が増える新宿・歌舞伎町では、外国人の迷惑行為が新たな問題に。池袋では仮装イベントで安心して祭典を楽しもうという試みも定着している。

渋谷「禁止」はトーンダウン

渋谷区では、長谷部健区長が「いいハロウィンと、よくないハロウィンを分けて訴えていく」との方針を掲げ、注意喚起を進めている。センター街の一部店舗から「迷惑行為をしない客には来てもらいたい」という声も出ており、今年はイベントそのものを否定しない形での警戒を模索するようになっている。

区は毎年、31日に向けて注意を促すキャッチコピーを掲げている。今年は「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」。昨年の「渋谷は、ハロウィーンをお休みします。」や、一昨年の「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません。」に比べ、幾分トーンダウンした印象があり、長谷部区長の発言にみられる通り、来訪客の見極めに気を配っているようにも映る。

ただ、迷惑行為に対する規制は昨年並みを踏襲。31日には警備を行い、センター街周辺の58店舗に酒の販売自粛を依頼したり、駅周辺の大型ビジョンに音量縮小やメッセージ発信などの協力を求めたりしている。

「毎年10月31日は構えてしまうが、営業をやめるわけにもいかないというジレンマがあったと思う」と話すのは、渋谷センター商店街振興組合の鈴木達治理事長。以前は警戒のため早めに営業を切り上げたことで経済的な損失もあった。年を追ってトラブルは目立たなくなってきており、営業を取りやめる店舗も減ってきている。

鈴木さんは「ハロウィンを全面的に否定するのはよくない、という店舗もある。店としても普通のお客さんには来てもらいたい。区の考えもそういう声を聞きながらのことではないか」と話した。

新宿「訪日客」のマナー周知課題に

新宿区は31日を前に歌舞伎町周辺の警戒を強めている。昨年のハロウィンでは、インバウンド(訪日客)の急増に伴って路上での飲酒や喫煙の約半数を外国人が占めていることが判明しており、マナー順守の周知が課題となっている。

「ハロウィンは金曜日だし、歌舞伎町に来ようかなって、友達と話してます」。27日、歌舞伎町の「トー横(東宝ビル横)」にいた15歳の少女はこう話した。神奈川県厚木市から、仮装用にナースのコスチュームを探しに訪れていた。

渋谷区が規制強化した令和5年には、約4キロ北にある歌舞伎町周辺の人出が約3千人増加。近くの焼き肉屋で店長を務める男性は「一昨年は歩道をはみ出て店の前まで人があふれた」と振り返る。

マナー違反が深刻化したことから、新宿区は昨年6月、歌舞伎町周辺で10月31日夕方から翌11月1日早朝に限り路上飲酒を禁じる条例を制定。職員が巡回し、トー横広場を封鎖するなどしてトラブルの抑制に成功した。区は今年も同様の規模で警戒を行う考えだ。

一方、新たに問題化したのが外国人観光客による迷惑行為の横行だ。区が昨年のハロウィンで職員が声掛けをした件数を集計したところ、路上飲酒は49%の152人、路上喫煙は398人中203人(51%)が外国人観光客だった。区の担当者は「規制を理解していない人が一定数いたのだろう」と推測する。

区は外国語のプラカードを作ってマナー順守を求めるほか、周辺の宿泊施設に外国人利用客に注意を呼びかけてもらうように要請している。

池袋、節度守り仮装イベント

サブカルの〝聖地〟池袋(豊島区)では、ハロウィンを地域振興に生かす試みが定着している。24日から3日間、ハロウィンのコスプレイベントを開催し、大通りを約400人のコスプレーヤーたちがパレード。国内外から16万人以上が集まった。

イベントは今年で12年目。仮装を楽しむというハロウィン本来のあり方を前面に押し出しており、高際みゆき区長もスタジオジブリの人気アニメ映画「風の谷のナウシカ」の主人公にふんして登場した。

これまで大きなトラブルは起きておらず、担当者は「ルールを守って楽しもうという参加者の思いに支えられている。31日も節度を守って楽しんでほしい」と話した。

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