ビットコイン、イーサリアム、XRPは、ここ数年で最大のクジラによる売却で試練に直面(CoinDesk JAPAN)
ビットコイン(BTC)は9月8日に11万2000ドルをわずかに下回る水準で推移した。トレーダーらは2年ぶりの大規模な大口の売却と長期的な蓄積の兆候、アルトコインの堅調なパフォーマンスを天秤にかけている。 CryptoQuantのオンチェーン分析ツールは、過去30日間で主要なウォレットから10万BTC以上(約127億ドル、約1兆8415億円相当)が流出したことを示した。アナリストのcaueconomy氏はこれを「今年最大のコイン売却」と評し、クジラの保有量が11万4920BTC減少したことで先週、現物価格が一時10万8000ドルを下回ったと指摘した。 この規模は2022年7月を思い起こさせる。当時もクジラが同じくらい積極的にポジションを縮小した。 「主要プレイヤーのポートフォリオは依然として縮小傾向にあり、今後数週間はビットコインに圧力をかけ続ける可能性がある」とcaueconomy氏は述べた。売却はETF(上場投資信託)への流入の鈍化や取引量の減少と重なり、市場はマクロ要因に依存する状態だ。 しかし、長期的な見通しは建設的だ。ビットコインは8月中旬の史上最高値からわずかに13%下落しており、過去の調整相場と比べればはるかに浅い。CryptoQuantのアナリスト、デイブ・ザ・ウェーブ(Dave the Wave)氏は、1年前の5万2000ドルだった1年移動平均が現在9万4000ドルまで上昇しており、10月には10万ドルを突破する可能性が高いと指摘した。これは構造的な上昇トレンドを示唆している。 ビットゲット・リサーチ(Bitget Research)の主席アナリストであるライアン・リー(Ryan Lee)氏は供給指標がこの見解を裏付けると指摘した。「ビットコインの非流動性供給量は過去最高の1430万BTCに達し、コインの70%以上が支出履歴がほとんどないウォレットに保管されている。長期的な価値への信頼は依然として明らかだ」。 リー氏は価格が10万5000ドルから11万8000ドルの範囲で安定し、勢いを回復すると見ている。ETFの資金流入と強気のMACD(マックディー:移動平均収束拡散)ヒストグラムのシグナルがこれを支えている。 イーサリアム(ETH)は4300ドル付近で取引された。リー氏はETF需要が持続すれば4100ドルから4600ドルのレンジになると予測している。さらに、今後のネットワークアップグレードと分散型金融(DeFi)の触媒が独自の上昇を促す可能性があると付け加えた。 一方、市場の幅には少し改善が見られた。エックス・アール・ピー(XRP)は2.3%上昇し2.96ドル、ソラナ(SOL)は3.2%上昇し214ドル、ドージコイン(DOGE)は1週間で10.5%の上昇を継続し0.236ドルとなった。カルダノ(ADA)も過去7日間で6%上昇し0.865ドルと堅調だ。 それでも市場のセンチメントは依然として鈍い。FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は、暗号資産(仮想通貨)市場の時価総額が先週2.5%上昇して3兆8500億ドル(約558兆2500億円)に達したものの、50日平均を下回ったままだと指摘した。 「これは潜在的なリスク選好度の懸念材料だ」とクプツィケビッチ氏はCoinDeskへのメールで述べた。「恐怖と貪欲指数(crypto fear and green index)」は週末に44まで下落して恐怖圏に突入したが、8日に51まで回復した。これはトレーダーが様子見モードにあることを示唆している。 マクロ経済の圧力が継続する中、9月の季節的な弱さも警戒感を一層強めている。 暗号資産取引所BTSEのCOO、ジェフ・メイ(Jeff Mei)氏はテレグラムのメッセージで、週半ばに発表される予定のアメリカのインフレ統計が次の動きを左右すると述べた。「予想を上回る数値ならビットコインとイーサリアムは下落し、下回るなら上昇する可能性がある」とメイ氏は語った。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin, Ether, XRP Face September Test After Biggest Whale Distribution in Years
CoinDesk Japan 編集部