装甲車に乗り込む台湾総統、軍事訓練で仮想の「斬首作戦」から脱出

有事を想定した訓練で装甲車両の中に乗り込む台湾の頼清徳総統/Taiwan Military News Agency

台北(CNN) 台湾の頼清徳(ライチントー)総統と政府高官らは5日夜遅く、体制の指導部を排除するいわゆる「斬首作戦」が試みられた場合を想定した訓練を行った。これは今年初めに米国がベネズエラの指導者ニコラス・マドゥロ氏を拘束したような作戦を念頭に置いたものとみられる。

台湾総統府の声明によると、装甲兵員輸送車が頼氏とスタッフらを首都台北の執務室から国防部近くの要塞化された指揮センターへ迅速に移送した。

訓練中、装甲車両で要塞化された指揮センターへ移動する頼清徳総統と政府高官ら(Taiwan Military News Agency)

総統府の報道官は6日の声明で、今回の訓練について「島に対して何らかの行動が取られた際にも政府が効果的な運営を継続し、国家安全保障を守れるよう、指揮系統、省庁間の連携、緊急対応の仕組みを検証することを目的としていた」と述べた。

政府が提供した映像には、装甲車両が台北の街路を高速で走行し、指揮センターへ向かう様子が映っていた。頼氏が防弾ベストを着用し、説明を聞き、訓練中に指示を出す姿も確認された。

「萬鈞」と呼ばれるこの訓練は5日に始まった10日間の「漢光演習」の一環。同演習は台湾で毎年行われる最大規模の軍事演習だ。

萬鈞訓練では、戦争やその他の緊急事態が発生した際に、台湾の指導者を安全な場所へ避難させる状況を想定している。

頼氏が参加したことが確認されたのは今回が初めてだが、当該の訓練には歴代の指導者も参加してきた。冷戦時代から存在する訓練で、当時の指導者、蒋介石が中国共産党による台湾への攻撃を警戒するようになったことに端を発する。中国共産党は、台湾を一度も統治したことがないにもかかわらず、台湾を自国の主権領域の一部だと主張している。

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は、台湾を共産党の支配下に置くと表明しており、そのために武力を行使する可能性も排除していない。

これまでに中国から公開された画像では、中国の砂漠地帯に台湾総統府やその他の政府機関、台北の街路配置を模した施設が建設され、部隊が演習でそこを攻撃する様子が確認されている。

1月初旬の米国によるマドゥロ氏の拘束や、対イラン戦争の初期段階における米国・イスラエルによるテヘラン指導部への「斬首作戦」は、こうした軍事行動に対する備えの必要性を示した。

「台湾は、現在イランで展開しているシナリオに備える必要がある。それも迅速にだ」。豪シンクタンク、ローウィー研究所の外交政策・世論プログラムのリサーチフェロー、チャールズ・ライオンズジョーンズ氏は3月の時点でそう述べていた。

台湾の国防当局高官は、今回の演習に先立ち記者団に対し、もはや「真空状態の中で行う実験室のような演習」ではないと強調した。

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