相場展望9月15日号 米国株: 米国株にオラクルという新星が現れる 日本株: 日経平均は、海外短期投機筋の「独壇場」が続く SQ値決定後と自民党総裁選日前後の急落に注意

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/11、NYダウ+607ドル高、46,108ドル  2)9/12、NYダウ▲273ドル安、45,834ドル

【前回は】相場展望9月11日号 米国株: 9/17の「利下げ決定」、トランプ関税の最高裁判決に注目 日本株: 国民の石破氏への期待は「泡」となって消えた

●2.米国株:米国株にオラクルという新星が現れる

 1)米国株相場は、オラクルの好決算をきっかけに「オラクル狂騒曲」の様相で上昇   ・オラクルの株価は好決算で急騰     9/09  241.51ドル     9/10  328.33     翌日からは反動安。     9/11  307.86

    9/12  292.16

  ・オラクル株は、9/10に前日比で+86.82ドル高・+35.95%高と急騰した。

  ・急騰後は反落している。     9/12は9/10から▲36.17ドル安となり、上げ幅を▲41.66%縮小した。

    それでも、9/9比で+50.65ドル高・+20.97%高となっている。

  ・オラクルの好決算を受け、(1)人工知能(AI)向けクラウドサービス需要の増加や(2)半導体関連の銘柄に買いが波及した。

 2)米国8月物価上昇は上昇、ただ上昇は鈍化   ・米国8月消費者物価指数は+2.9%、予想と一致、7月+2.7%から上昇。燃料・食品を除いたコア指数は+3.1%と、7月と同水準。

 3)労働市場の悪化で、FRBの金利低下期待が膨らむ   ・物価上昇は続いているが、それ以上に雇用悪化している。

  ・この観点から、FRBによる9月利下げ観測が強まっている。市場では、利下げはほぼ確実視され、利下げ幅に関心が移っている。    ▲0.25%利下げは確定とされ、▲0.50%の攻防となっている。

   ▲0.75%の期待もある。

  ・株価に対する影響として、(1)▲0.75%利下げなら、株式相場は好感し上昇。(2)▲0.25%利下げならば、失望で株式相場は売られる可能性がある。

●3.米国9月ミシガン大学消費者信頼感指数は55.4と、予想58.0を下回る、8月は58.2(フィスコ)

 1)米国経済の7割は消費が占めるため、消費者信頼感指数の低下は経済成長の減速を示唆している。米国連邦準備理事会(FRB)の利下げを正当化する。

●4.先週分新規失業保険申請件数は26.3万件と+2.7万件増、予想を上回る(フィスコ)

●5.米国8月消費者物価指数+2.9%上昇、上昇率は前月を+0.2%上回る(NHK)

 1)トランプ政権の関税措置が輸入品の物価を押し上げると指摘されるなか、影響がじわじわと広がっているという見方も出ている。

●6.メキシコ、対中国自動車関税率を20%⇒50%に引上げ(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/11、上海総合+63高、3,875  2)9/12、上海総合▲4安、3,870

●2.中国8月新車販売、前年同月比+16.4%増、EV含む新エネルギー車が好調(NHK)

 1)政府が推し進める自動車の買い替え促進策の効果で新エネルギー車が前年同月比+26.8%増えたため。  2)ただ、中国の国内市場では、値下げ競争に激化で自動車メーカーの経営環境が厳しさを増している。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/11、日経平均+534円高、44,372円  2)9/12、日経平均+395円高、44,768円

●2.日本株:日経平均は、海外短期投機筋の「独壇場」

       SQ値決定後と自民党総裁選日前後の急落に注意

 1)日経平均は、海外短期投機筋の独壇場で急伸   (1)日経平均は9/11、株価先物主導でいびつな上昇    ・日経平均の上昇率だけが極端に目立つ上昇      日経平均   +1.22%上昇 : TOPIXの上昇率の5.5倍もの急伸      TOPIX    +0.22      JPX日経400  +0.32

     グロース250  ▲1.12

   ・日経平均+534円高も、2銘柄だけで+484円、5銘柄で+539円高の寄与。       銘柄        寄与額      ソフトバンクG    329円高      アドバンテスト   155      東エレク       26      ディスコ       17

     フジクラ       12

   ・日経平均は、海外短期投機筋の「独壇場」

  (2)日経平均9/12も少数銘柄で上昇    ・日経平均+395円高も、わずか5銘柄で寄与額は+295円と75%を占める。       銘柄        寄与額      東エレク        119円      アドバンテスト     67      ソフトバンクG    66      ファーストリテイ   30

     リクルート      13

   ・特に、3銘柄(ソフトバンクG、東エレク、アドバンテスト)を保有しなければ、株価上昇に付いていけない状況になっている。

   ・9/12の相場の牽引役は「海外投資家による株価先物」の買いであった。

 2)短期的には自民党総裁選挙トレードが中心、オラクルの好決算でAI関連が物色される局面にある   ・高市氏の財政拡張策や小泉氏の規制改革などを先回りした株買いで日経平均は最高値を更新し続けている。自民党総裁選が有力⇒石破首相の辞意で、日経平均は9/4以降+2,830円もの急騰をした。      日経平均の推移        9/03  41,938円        9/12  44,768

       差引  +2,830円高

 3)日経平均の短期急伸のエンジンは「海外短期投機筋の買い」   ・それだけに、自民党総裁選の決着が見えたときが、相場の天井となる可能性がある。    予想される相場の天井の日      ・9/22の総裁選公示日:早期に自民党総裁選の優劣が判明したとき。

     ・10/4の総裁選決定日:フルスペックによる投票で決着したとき。

 4)自民党・新総裁の決定後の下落に警戒   (1)石破氏を自民党総裁に選出前に、日経平均は9/11比+4,210円高・+11.82%高。    ・昨年、石破氏が自民党総裁選出前の日経平均の推移      9/11   35,619円 :自民党総裁選前      9/18   36,380円 :自民党総裁選直前

     9/27   39,829   :自民党総裁決定の前日

  (2)石破総裁の誕生で、日経平均は翌営業日に▲1,910円大幅安。     ・昨年、石破氏が自民党総裁当選後の日経平均の推移      9/27   39,829   :自民党総裁決定の前日      9/30    37,919   :総裁選出の翌営業日▲1,910円安

     10/2   37,808

  (3)今年、石破首相の辞意観測で、日経平均は9/4以降+2,830円と急騰した。    ・臨時総裁選の成立が濃厚となって以降の日経平均の推移      9/03  41,938円   :退陣表明の記者会見は9/7      9/12  44,768

     差引  +2,830円高・+6.75%高

  (4)今年、自民党総裁後の日経平均急落のおそれ?    ・昨年同様に、海外短期投資家の思惑で先物を中心に日経平均が急伸している。    ・株式相場の格言「ウワサで買い、事実で売り」が現実化する可能性がある。    ・目先の日経平均天井の予想日       公示日  9/22前後 : 総裁が事実上確定。         投開票  10/4前後 : 総裁選で確定。     上記の日は注意したい。        5)SQ後は注意   ・日経平均先物の特別清算日の9/12朝、以降後は、注意。     ・特に、SQ値は9/12朝45,016円で決定した。そして、日経平均9/12終値は44,765円と、SQ値から▲251円安で終えた。SQ値確定後、海外投資家は先物を売り始めた模様。

    ・このため翌営業日9/16には大きく反動安となる可能性がある。

●3.企業物価指数、8月は+2.7%上昇で、54ヵ月連続プラス、コメなど食料品高騰の影響

 1)政府による電気やガス料金への補助金などが伸び率を下げたが、コメなど食料品などの高騰が続いている。(テレ朝)

●4.ロイター企業調査、(1)植田・日銀総裁は「評価しない」、(2)下期業績は▲3割超で下振れも(ロイター)

●5.良品計画が堅調、8月の中国既存店売上高+27.4%増、EC好調(moneyworld)

●6.サトウ食品、第一四半期営業利益は前年同期比+6.1倍(フィスコ)

●7.三菱総合研究所、2025年9月期営業利益+73億円・前期比+3.4%増と上方修正(フィスコ)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任で追い願いします)

 ・4004 レゾナック    業績回復期待  ・4307 野村総研     業績順調

 ・7974 任天堂      業績好調

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