米国、G7にロシアの攻撃非難する声明承認しないと通知-関係者

米国は他の主要7カ国(G7)参加国に対し、多大な犠牲を出したロシアのウクライナ攻撃について非難する声明を承認しないと通知した。ロシアとの交渉を維持しておきたい考えからだという。

  キリスト教の「受難の主日(枝の主日)」に当たる13日朝、ロシアはウクライナ北東部のスームィを2発の短距離弾道ミサイルで攻撃。1発はクラスター爆弾が搭載されていた。ウクライナのゼレンスキー大統領によると、この攻撃で教会に参列していた子供を含む少なくとも35人が死亡、119人が負傷した。

  だが、トランプ政権は「和平交渉の余地を維持するため取り組んでいる」ことを理由に、この攻撃を非難する声明に署名することはできないと他のG7諸国に伝えてきたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

  この関係者によると、今年のG7議長国を務めるカナダは、米国の承認なしでこの声明を前に進めることは不可能だと、G7諸国に通知したという。

  在ロンドンの米国大使館はコメントを控えた。ホワイトハウスと国家安全保障会議(NSC)、カナダ政府はブルームバーグ・ニュースのコメントの要請にすぐには応じなかった。

ロシアのミサイル攻撃があった現場(14日、ウクライナ・スームィ)

  ロシア国防省は15日、スームィでの攻撃を実行したとテレグラムで認めたが、攻撃したのは同市のウクライナ軍幹部の集まりで、軍人60人余りを殺害したと主張した。

  ブルームバーグ・ニュースが確認したG7の声明草案によると、スームィの攻撃はロシアが戦争継続を決意していることの証左だとしていた。

  トランプ米大統領は声明草案とは違うトーンだった。14日夜に記者団に対し、「ひどい」攻撃だと話す一方、ロシアは「間違いを犯した」との報告を受けたとして、詳細には触れなかった。また、戦争の責任はバイデン前大統領とゼレンスキー氏にあると、すぐに話題を切り替えた

  この攻撃の2日前、米国のウィトコフ特使はロシアのプーチン大統領とサンクトペテルブルクで約5時間にわたり会談し、ウクライナでの停戦を協議した。

  ウィトコフ氏は14日夜、FOXニュースとのインタビューで、プーチン氏との会談は米ロ関係を「再構築」し、「極めて魅力的なビジネス機会」を通じて地域を安定させる可能性を開いたと語ったが、詳細は明らかにしなかった。

関連記事:米特使、プーチン大統領と「納得のいく」会談-戦争終結に向け協議

  ゼレンスキー大統領は14日、毎晩行う国民向けの演説で、スームィの攻撃を受けて約50の国や国際機関がウクライナを支持する発言を行ったと述べた。

原題:US Derails G-7 Condemnation of Russian Missile Strike on Ukraine(抜粋)

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