「ChatGPTの共同開発者であるシェンジア・ジャオ氏がMeta入社数日で辞意を申し出てOpenAIへの復帰を示唆

メモ

OpenAIのChatGPT共同開発者であるシェンジア・ジャオ氏が、Metaに入社してわずか数日で辞職し、古巣のOpenAIに戻ると申し出たと報じられました。この一件は、マーク・ザッカーバーグCEO主導で進められているMeta史上最大規模のAI部門再編が混乱をきたしていることを示していると指摘されています。

Zuckerberg’s AI hires disrupt Meta with swift exits and threats to leave

https://www.ft.com/content/110786e7-6443-4dff-adee-0ac02c55aaa6

What’s really happening with the hires at Meta Superintelligence Labs | The Verge

https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/767746/meta-ai-superintelligence-lab-departures-scale-zuckerberg-memo ザッカーバーグCEOは、「誰もが利用できるパーソナルなスーパーインテリジェンス(超知性)」の構築を目指し、AI分野で優位に立つため、数カ月にわたり大規模な人材獲得を進めてきました。OpenAIやAppleなどの競合他社から、巨額の契約金と潤沢な計算資源へのアクセスを約束し、著名な研究者を引き抜いています。Scale AIのCEOだったアレクサンダー・ワン氏を140億ドル(約2兆1000億円)規模の投資の一環として迎え入れ、新しいAI研究部門であるMeta Superintelligence Labs(MSL)全体の責任者としています。

MetaはScale AIのCEOであるアレクサンダー・ワン率いる「スーパーインテリジェンス(超知性)」の追求に特化したAIラボの構築を計画、OpenAIやGoogleからAI研究者を引き抜くべく数億~数百億円の報酬を用意 - GIGAZINE

そして、ChatGPTや大規模言語モデル(LLM)のGPT-4、OpenAI初のAI推論モデルであるo1など、数々の画期的なプロダクトの開発に携わってきたジャオ氏もまた、MSLの主任研究員として迎えられました。

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しかし、経済紙のFinancial Timesによれば、ジャオ氏はMetaに入社後すぐに「辞めてOpenAIに戻る」と申し出て、実際にOpenAIに戻るための雇用書類に署名までしたとのこと。しかし、その直後にMetaは彼を新しく「Chief AI Scientist」(最高AI科学者)に任命したそうです。 ジャオ氏がなぜMetaをすぐに辞めようとしたのかについては不明ですが、Financial Timesは「引き抜かれて新しく入社したメンバーと、古くからMetaに務めているメンバーの間で衝突があったから」と推察しています。

関係者の証言によれば、ジャオ氏のように新しく加わった幹部が力を示そうとする一方で、古くからの幹部は脇に追いやられており、この急進的な改革は社内に軋轢(あつれき)を生んでいるとのこと。その結果、ジャオ氏以外にも、入社後わずか数週間で退職する研究者や、入社手続きを終えながらも初日に出社しなかった元OpenAIの研究者など、短期間でMetaを去る人材が相次いでいるそうで、最近退社を表明した従業員の中にはMetaに9年および10年在籍していたベテラン社員も含まれている模様。 一方、新しく入社した人たちの中には、Metaの官僚的な社風や、約束されていた計算資源へのアクセスを巡る内部競争に不満を感じている人もいるとのこと。ワン氏のリーダーシップスタイルについても、巨大IT企業でのマネジメント経験がないことから、一部で摩擦が生じているとFinancial Timesは報じています。

混乱は人材面に留まりません。Metaがフラッグシップモデルとして開発していた「Llama Behemoth」は、期待された性能を発揮できなかったため、一般公開に向けた積極的な開発が中止されました。現在は、ワン氏が率いる新部門「TBD(To Be Determined:未確定) Lab」が、より新しい最先端モデルの構築に注力しています。

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こうした状況を受け、Metaは管理職にメモを共有し、MSL全体への採用を、事業に不可欠な役職を除いて一時的に停止すると発表しました。Metaはこの措置について、2026年の人員計画を慎重に策定するためであり、急成長した組織では一般的なことだと説明しています。

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