「Nintendo Today!」は「X(Twitter)がなくなった世界を想定しているかもしれない」との指摘。SNSがぐちゃぐちゃになってもきちんと任天堂が発信できる手段説

任天堂は3月28日、「Nintendo Today!」をiOS/Android向けに配信開始した。情報集積型のオウンドポータルメディアアプリだ。同アプリは任天堂情報を得られるツールであり、X(旧Twitter)がなくなった世界を想定しているのではないかという指摘もあり、海外一部コミュニティで話題となっている。

「Nintendo Today!」は、スマートフォンアプリだ。任天堂は「任天堂に関するいろいろなイベント、ゲームの情報、ちょっと楽しいコンテンツなど、毎日日替わりでお届けする、日替わりカレンダーのようなスマートフォン向けアプリ」と説明している。アプリを開くと任天堂作品にちなんだ演出と共にカレンダーが出てくるほか、直近のイベントやリリース情報、任天堂作品関連の豆知識などが表示される。表示させる情報はカスタマイズ可能。また昨晩には「ゼルダの伝説」映画情報が飛び出したように、ゲリラ的な発表もあるようだ。

宮本です。数時間前に『Nintendo Today!』でお届けした映像はご覧いただけましたか? Avi Aradさんと制作する「ゼルダの伝説」の実写映画は、全世界で2027年3月26日に劇場公開することになりました。『Nintendo Today!』では、このような情報も「直接」お届けしていきます。ぜひ使ってみてください。

— 任天堂株式会社 (@Nintendo) March 28, 2025

現時点で、任天堂が掲げる「直接」ユーザーに届ける情報発信手段としてはほぼ完璧なツールとなっている。本アプリの意義は多様にあるかと思われるが、その意義のひとつとして「X(Twitter)がなくなった世界を想定しているのではないか」という指摘が一部のRedditコミュニティで話題になっている。

海外メディアOverkillは、任天堂が「Nintendo Today!」を使って大きなテストをしていると指摘。たとえば前出の「ゼルダの伝説」映画情報においては、アプリ経由で発信しXだけでなくRedditや多様な場所で話題になったと分析し、そのテストは成功しているとした。任天堂が自社アプリで発信するメリットとしては、さまざまなSNSにまたがって発信する必要がないことや、SNSの情勢に左右されないことをあげている。

後者のSNS情勢の変化は、深刻な問題だ。イーロン・マスクがTwitterを買収しXへと改称。進化した部分はあるものの、誤った情報が錯綜することが多くなり、差別的な言動が以前より罰せられなくなったり、あるいは公平性や公共性よりもイーロン氏の個人的な都合や事情が優先されるようになったりと、危うさが増している。

任天堂は、外的要因に左右されることを特に嫌う会社である。自社主導主権であることを望み、Nintendo Directの「直接」をテーマとした情報発信は、端的な例である。任天堂はさまざまなSNSアカウントを保有しているが、そのSNSにいずれの形にしても依存することになる。任天堂のXフォロワーは、日本版が508万、アメリカ版が1418万、ヨーロッパ版が70万。そもそも公式発信はキャッチしており、あくまでXをひとつのアンテナとしてフォローしているだけのユーザーも多いかと思われるが、Xが終わればこれらのユーザーへの発信方法が途絶えることになるのも事実だ。

またアプリ内の動画がYouTubeを利用したものではなく、自社での動画プレイヤーが用意されていることも特徴である。以前Googleの従業員がYouTubeにあげられた任天堂の映像をリークしたという報道もなされており、こうしたリスク対策の可能性も垣間見える。【UPDATE 2025/3/29 17:00】

動画に関する言及を追記

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