川崎Fは新加入CBの序盤レッド含む前半2人退場…数的優位生かした福岡は“鬼門”等々力でリーグ戦9177日ぶり勝利

[8.9 J1第25節 川崎F 2-5 福岡 U等々力]

 J1リーグは9日に第25節を行った。川崎フロンターレアビスパ福岡の対戦は、福岡が5-2で勝利。リーグ戦において川崎Fにアウェーで勝利したのは、2000年6月24日のJ1第2ステージ第1節(○1-0)以来、9177日ぶりとなった。

 7位・川崎Fは前節・ガンバ大阪戦(●1-2)で敗れて以来、3週間ぶりの公式戦。DF高井幸大(→トッテナム)やFW山田新(→セルティック)の欧州移籍を経て、後半戦に向けて再スタートを切る。新加入のクロアチア人DFフィリップ・ウレモヴィッチがさっそく初先発で、同じく新加入のセルビア人FWラザル・ロマニッチはベンチ入りとなった。

 11位・福岡は6日の天皇杯4回戦・鹿島アントラーズ戦(●2-3)で延長戦の末に敗戦。FW金森健志(→メルボルン・C)が海外移籍で退団した。DF上島拓巳とMF松岡大起は120分フル出場から中2日でスタメン入りした。[両スタメン&布陣]

 川崎Fが開始2分経たずに2度チャンスを作ると、前半4分に先制する。FWマルシーニョがPA左から手前に落とすと、MF橘田健人が右足ミドル。ゴール前でバウンドしたボールはGK小畑裕馬のセーブをかいくぐり、今季初ゴールとなる先制点となった。

 しかし試合は思わぬ展開へ。前半12分、川崎Fはウレモヴィッチが最終ラインの突破を図るFW碓井聖生にタックル。その際に足裏が碓井の右すねを直撃する。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックを経て、清水勇人主審はウレモヴィッチへのイエローカードをレッドカードに変更。ウレモヴィッチはデビュー戦で退場処分となった。

 判定に対して両チームの選手が清水主審のもとに集まると、両チームのキャプテン、MF脇坂泰斗とDF奈良竜樹が今節からスタートした新ルール「キャプテンオンリー」を遵守。主審とのやり取りを両キャプテンのみに留め、清水主審から説明を受けた。前半17分、川崎FはMF伊藤達哉を下げ、DFジェジエウを投入する。4-4-1の布陣を敷き、数的不利の状況を整えた。

 数的優位の福岡は少しずつ攻勢を強める。前半22分、MF藤本一輝が左サイドを突破し、DFファン・ウェルメスケルケン・際のファウルとイエローカードを誘発。24分にPA左外のFKをMF名古新太郎が右足で蹴ると、ニアサイドのFWエリソンに当たりながらゴールへ。名古のゴールで1-1と同点に追いついた。

 だが、川崎Fも冷静さを失わずに勝ち越しゴールを奪う。前半28分、ピッチ中央から突破を図り、中盤のマルシーニョの落としをMF山本悠樹がダイレクトで浮き球スルーパス。反応したエリソンがPA内に入ると、奈良との競り合いを制しながら、GK小畑の飛び出しも背負って左足シュート。強引にゴールに押し込み、2-1とした。

 得点の奪い合いは続く。福岡は前半35分に再同点。左CKを名古が右足で蹴り込むと、ニアサイドのDF上島拓巳が頭でフリック。背後のエリソンに当たったボールはそのままゴールに入り、オウンゴールで2-2となった。

 前半アディショナルタイムは8分もあるなか、前半終了間際に再び試合が動く。福岡は相手のCKをしのぎ切ると、MF紺野和也が自陣近くの右サイドからロングカウンターを敢行。止めに入ったファン・ウェルメスケルケン・際のファウルを誘発すると、ファン・ウェルメスケルケン・際は2度目のイエローカードを受けて退場処分となった。

 川崎Fは前半だけで2人退場し、9人で前半を終えた。ハーフタイムで両チームは交代せず。川崎Fは後半から4-3-1の布陣にした。福岡は後半14分にMF岩崎悠人に代え、DF前嶋洋太が入った。

 後半24分、福岡は逆転のチャンスを得る。藤本がPA左に進入すると、深い位置まで入り込んだところで橘田に倒された。VARのチェックを経て清水主審はPKの判定。名古が冷静にPKを決め切り、3-2と試合をひっくり返した。

 川崎FはPK直前に2枚替えを行い、エリソンと山本を下げて、新加入FWロマニッチとMF河原創を投入。福岡は3点目直後に2枚替え。MF重見柾斗と上島を下げ、FWウェリントンとDF橋本悠が出場した。川崎Fはさらに後半33分に2人代え、脇坂とマルシーニョに代えてMF大関友翔とMF家長昭博が入った。

 福岡は後半40分からダメ押しの連続ゴール。名古の縦パスをPA中央で受けた碓井が反転して右足シュートを決め、4-2と2点差に広げた。さらに43分には紺野が5点目を沈めた。  試合はそのまま終了し、福岡が5-2でシーソーゲームを制す。直近3試合を引き分けていたが、4試合ぶりの白星で7試合無敗を続けた。一方、前半2人退場で苦しんだ川崎Fは2連敗となった。 (取材・文 石川祐介)●2025シーズンJリーグ特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

関連記事: