ジロ・デ・イタリア2025 頂上ゴールの第16ステージはイタリアのスカローニが初優勝/ログリッチ棄権|サイクルスポーツがお届けするスポーツ自転車総合情報サイト|cyclesports.jp
イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、いよいよ最終週に突入。休養日明けの5月27日はピアッツォーラ・スル・ブレンタからブレントーニコにある標高1315mでカテゴリー1のサン・ヴァレンティーノ頂上までの203kmで頂上ゴールの第16ステージを競い、クリスティアン・スカローニ(XDS・アスタナ チーム)が、チームメイトでマリア・アッズーラを着たロレンツォ・フォルトゥナート(XDS・アスタナ チーム)と一緒に逃げ切り、開催国イタリアに今年最初の区間優勝をもたらした。
チームメートのフォルトゥナートと一緒にゴールしたスカローニ(右)が開催国イタリアに今年最初の区間優勝をもたらした (photo : LaPresse)
マリア・ローザを着たメキシコのイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)は、今大会で初めて総合を争うライバルたちに付いていけず、ゴールまで残り4kmの坂で遅れてしまったが、何とか総合首位の座を守る事ができた。しかし、総合2位のサイモン・イェーツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク/英国)とのタイム差は26秒にまで縮まってしまった。
遅れを最小限を留めるために全力でゴールを目指したマリア・ローザのデルトロ (photo : LaPresse)
ログリッチが棄権
2023年の総合優勝者であり、今大会の総合優勝候補だったスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は、最初の峠を越えた後の下りで落車し、レースを棄権した。彼は日曜日に開催された第15ステージでメイン集団から遅れてゴールし、3分53秒遅れの総合10位で最終週をスタートしていた。
ログリッチは今年のジロで序盤に2回総合首位になってマリア・ローザを着用したが、グラベル区間の第9ステージで落車に巻き込まれて遅れ、故郷スロベニアがゴールだった第14ステージでも落車で足止めされてタイムを失っていた。
スタート前のログリッチ。まさかまた落車してレースを去る事になるとは思っていなかっただろう… (photo : LaPresse)
今年2回目の頂上ゴール山岳区間
第16ステージは167選手が出走。今大会で3回しかない頂上ゴールの山岳区間の2つ目で、途中カテゴリー2峠を1カ所、カテゴリー1の峠を2カ所越え、獲得標高は5000m近かった。スタートから残り70kmまで雨が降り続き、多くの選手が落車に見舞われた。序盤の逃げに加わっていた英国のジョシュア・ターリング(イネオス・グレナディアズ)もその一人で、彼はレースを棄権した。
最初に越えたカテゴリー2のカルボナーレ峠で23人の大きな逃げ集団が形成され、そこにマリア・アッズーラのフォルトゥナートとチームメイトのスカローニも加わっていた。フォルトゥナートは途中通過した3つの峠を全て先頭で通過し、山岳賞総合のリードをさらに広げだ。
メイン集団ではゴールまで残り42.3kmのサンタ・バルバラ峠(カテゴリー1)の坂でEFエデュケーション・イージーポストが先頭を引き、新人賞総合2位でマリア・ビアンカを着ていたスペインのフアン・アユソ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が遅れてしまった。彼はこのステージを総合3位でスタートしたが、15分近く遅れてゴールし、総合争いから大きく後退してしまった。アユソはこのステージで2回落車したと、ゴール後にデルトロがインタビューで語っていた。
サンタ・バルバラ峠ではコロンビアチャンピオンのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)も一度メイン集団から遅れた。彼も雨のコースで落車していた。
前半は雨で落車が続出した (photo : LaPresse)
先頭ではサンタ・バルバラ峠の下りでスイスのヤニス・ヴォワザール(チューダー プロサイクリングチーム)が抜け出し、追走グループに20秒ほどのタイム差を付けて最後のサン・ヴァレンティーノを上り始めた。この時、メイン集団は4分半遅れていた。
ゴールまで残り15.4kmで、追走グループからスカローニがアタックし、エクアドルのジェフェルソン・セペダ(モビスターチーム)が付いていき、そこにフォルトゥナートも合流した。3人は残り13kmで先頭のヴォワザールに追いついた。5分近く後方のマリア・ローザ集団は20人ほどになっていた。
スカローニはゴールまで残り11kmでアタックして独走を開始した。そこにマリア・アッズーラのフォルトゥナートが合流し、チームメイトを山頂までエスコートするように走り続けた。最後は2人仲良く手を繋いでゴールし、スカローニが27歳でグランツール区間初優勝を手中に収めた。彼は今年のジロで区間初優勝を果たした7人目の選手になった。
総合争いがスタート
ここまで力強い走りを見せてきたマリア・ローザのデルトロが遂に遅れた (photo : LaPresse)
ゴールへと向かうサン・ヴァレンティーノの坂で、総合争いの激しいバトルが始まった。マリア・ローザの集団で最初に動いたのは1分20秒遅れの総合2位に付けていたサイモン・イェーツだった。このアタックにデルトロはすぐ反応し、リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)、デレク・ジー(イスラエル・プルミエテック)、マイケル・ストーラー(チューダー プロサイクリングチーム)も合流した。しかし、残り6.2kmでアタックしたカラパスには誰も付いていけなかった。
デルトロはサイモン・イェーツをマークして走り続けたが、サイモン・イェーツも攻撃の脚を休めず、残り3.8kmで遂に21歳のデルトロは付いていけなくなってしまった。32歳で2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)の総合優勝者であるサイモン・イェーツは、このステージでデルトロに1分近い差を付ける事に成功し、総合でのタイム差を26秒にまで縮めた。しかし、先にゴールしたカラパスも31秒差の総合3位になった。
■区間初優勝したスカローニのコメント 「ジロの区間で勝てて本当に嬉しい。フォルトゥナートとボクはとても激しく、とても良く戦った。このステージの初めに雨が降り出した時、本当に調子が良いと感じていた。最後に我々は話し合い、ボクが区間を取ってフォルトゥナートは山岳賞ポイントを稼ぐと決めた。彼はボクに区間優勝させてくれたんだ。最後の1kmは限界だった。そこはとても急だった。最後の上りで我々は他の選手たちを1人また1人と蹴落としていった。マリア・ローザのグループかカラパスが我々を捕まえるかは分からなかった。この勝利はチームのものだ」
過酷な山岳区間でマリア・ローザを守ったデルトロ。しかし、ベテランのサイモン・イェーツとのタイム差は26秒になってしまった (photo : LaPresse)
■第16ステージ結果 [5月27日/ピアッツォーラ・スル・ブレンタ~サン・ヴァレンティーノ(ブレントーニコ)/203 km] 1. SCARONI Christian (XDS ASTANA TEAM / ITA) 5:35:05 2. FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA) 3. PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) + 0:55 4. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 1:10 5. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 1:23 6. CEPEDA Jefferson (MOVISTAR TEAM / ECU) + 1:43 7. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 1:52 8. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 1:52 9. LEEMREIZE Gijs (TEAM PICNIC POSTNL / NED) + 2:19
10. VOISARD Yannis (TUDOR PRO CYCLING TEAM / SUI) + 2:31
11. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 2:31 12. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 2:31 13. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) + 2:46 14. YATES Adam Richard (GBR) + 3:07 15. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 3:51
35. AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) + 14:47
■第16ステージ後の総合成績(マリア・ローザ) 1. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) 61:36:56 2. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 0:26 3. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 0:31 4. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 1:31 5. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 2:40 6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 3:23 7. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 3:31 8. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 4:07 9. PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) + 4:36
10. YATES Adam Richard (GBR) + 2:35
[各賞] ■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN) ■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA) ■新人賞(マリア・ビアンカ): DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX)
(※第17ステージは TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) が着用)
第17ステージはモルティローロを越える中級山岳区間
●第17ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)
5月28日はイタリア北東部のトレンティーノ・アルト・アディジェ州のサン・ミケーレ・アッラディジェからロンバルディア州のボルミオまでの155kmで、中級山岳区間の第17ステージが行われる。途中、アルプスのトナレ峠(カテゴリー2)と有名なモルティローロ峠(カテゴリー1)を通過する。
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