ボーン・上田賞の倉茂由美子特派員「涙を流しながら話してくれたウクライナの人たちの勇気に対する称賛として受け止めたい」

 優れた国際報道に贈られる「ボーン・上田記念国際記者賞」(公益財団法人・新聞通信調査会)の授賞式が21日、東京都内で開かれ、2024年度の受賞者に選ばれた読売新聞の倉茂由美子・ローマ特派員(42)に賞状と記念品が授与された。

「ボーン・上田記念国際記者賞」授賞式で、賞状を受け取る読売新聞の倉茂由美子・ローマ特派員(左)(21日)

 ロシアのウクライナ侵略開始から2年となった24年2月、2年半となる同8月に際して、ウクライナから報じた一連のルポが高く評価された。授賞式で選考委員は「入念に取材準備をし、努力や誠意があったからこそ取材対象者は心を開き、核心に迫る思いを吐露してくれた」とたたえた。

 倉茂氏はあいさつで「涙を流しながら話してくれたウクライナの人たちの勇気に対する称賛として受け止めたい」と述べた。今年2月の現地取材では人々の不安が広がっていたと指摘し、「ウクライナの人々を置き去りにしないと改めて肝に銘じ、現場から報道していきたい」と誓った。

 授賞式では、同じく今年度受賞者に選ばれた時事通信の出井亮太・外信部編集委員(47)にも賞状などが贈られた。

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