大谷翔平が“一人ぼっち”…ド軍が抱える重大問題 専門家が危惧…最終盤で迎える正念場

ナ・リーグ西地区首位も勝率でフィリーズ、ブルワーズの後塵を拝している

【MLB】パイレーツ 3ー0 ドジャース(日本時間4日・ピッツバーグ)

 大谷翔平投手らを擁しナ・リーグ西地区首位のドジャースは3日(日本時間4日)、敵地で行われたパイレーツ戦に0-3で零封負けを喫し2連敗となった。2位の宿敵パドレスもオリオールズに敗れ4連敗となったため、2.5ゲーム差は変わらなかった。残り23試合と、その先のポストシーズンへ向け、大谷の重要度がますます高まりそうな状況だ。

 78勝61敗(勝率.561)でナ・リーグ西地区首位に立っているドジャースだが、同中地区首位のブルワーズ勝率.614、同東地区首位のフィリーズの同.576には劣る(成績は3日=日本時間4日現在、以下同)。

 ポストシーズンでは、各地区の優勝チームのうち勝率1位と勝率2位はシードされ、地区シリーズで待ち構えることができるが、勝率3位となるとワイルドカードシリーズ(地区優勝チームを除き勝率がリーグ3位のチームの対戦、2勝で勝ち抜け)から戦い始めなければならず、負担が大きくなる。もちろん、そこで敗退するリスクもある。

 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏は「地区優勝するにしても、勝率が3番目ではキツイ。せめて2番目でポストシーズンに行きたい。ポストシーズンは短い間隔で神経を使う試合をどんどんやらないといけないので、特に投手陣の疲労度が増します。2番目以上で行ければ、戦い方が少し楽になりますから」と指摘する。昨季に世界一に輝いたドジャースはリーグ最高勝率をマークし、地区シリーズからのポストシーズン登場だった。

 ドジャースにとって不安材料となるのが、故障者と高齢の主力選手が多いことだ。野手では、内外野をこなせるトミー・エドマン内野手と強打のマックス・マンシー内野手が負傷者リスト(IL)にいる。一方で今月12日に36歳となるフレディ・フリーマン内野手をはじめ、主力の高齢化も進んでいる。新井氏は「ベテラン選手と成長途上の若手が多く、バリバリやっていける中間層が少ない。(7月5日に31歳となった)大谷1人がそのポジションで気を吐いている印象です。そうなると、チームの状況はこれから苦しくなっていくかもしれません」と見る。

「チームの状況がわかっているからこそ力を振り絞ったのでしょう」

「そういうチームの状況がわかっているからこそ、大谷は体調不良の中でも力を振り絞って頑張ったのでしょう」と新井氏。3日(同4日)のパイレーツ戦で大谷は「体調不良」で予定されていた先発登板を回避した。それでも野手としては「1番・指名打者」で出場し、5打数2安打。ボテボテの三ゴロを“激走”で内野安打にし、さらにタッチアップで2度次の塁を陥れる奮闘ぶりだった。

 個人成績でも大谷は、今季もおよそ3試合に1本のペースで46本塁打を積み上げ、このペースなら残り23試合で昨季と同じ54本塁打に達する計算だ。それでもナ・リーグ本塁打王争いでは、49発放っているフィリーズのカイル・シュワバー外野手に3本差をつけられており、3年連続本塁打王(一昨年はア・リーグ、昨季はナ・リーグで獲得)は微妙。こちらもシーズン最終盤が正念場となる。

 数々の重圧をはねのけ、2年連続ワールドチャンピオンの座までこぎつけることができるか。脂が乗りきる年齢の大谷にとっても、決して簡単な状況ではない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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