満弾にまさかの"ノーノー"…思い出が詰まった10月8日 小久保監督の誕生日「母に感謝」
徹底した独自取材、データ分析選手の本音や核心に迫る「鷹フル」
5日のロッテ戦(ZOZOマリン)でレギュラーシーズンの全日程を終えたソフトバンクは、2日間の休日を挟んだ8日、みずほPayPayドームで全体練習を行った。15日から始まるクライマックスシリーズのファイナルステージに向けた調整に入る。この日は小久保裕紀監督の54歳の誕生日でもあり、練習中には誕生日を祝う音楽が流れ、グラウンドからは拍手が送られた。練習後、取材に応じた指揮官の一問一答は以下の通り。
――54歳になった気持ちは。 「毎年誕生日に思うことは、生んでもらった母への感謝です。2017年に他界しましたけど、誕生日を迎えるたびに『こんな丈夫な体に生んでもらって本当にありがとう』という思いで、この日を迎えています」
――ベンチ裏でも拍手が起こっていた。選手たちからは声をかけられた? 「『おめでとうございます』ということと、孫(正義)オーナーからはお花とワインをいただきました。これからあと2つの山、CSと日本シリーズがあるので。やるしかないなとあらためて強く思いました」
――現役時代には引退試合も誕生日に行われた。 「現役の時から最終戦くらいに誕生日が来る。満塁ホームランを打ったこともありますし、何と言っても引退試合がノーヒットノーランっていうのは、もう人生のネタになってしまっている。2軍(監督)時代、選手たちには『人生ネタ作り』という話をいつもしていたんですけど、この10月8日はそのくらいの時期に重なるということもあって、ネタは尽きないなと思います」
――お祝いのメッセージなどはもらった? 「メッセージはたくさんいただきました。いい年齢を重ねられるように前進し続けるしかないですね」
――今後に向けて。 「レギュラーシーズンはもう終わったことなので。終わったシーズンに酔いしれないようにと、自分の戒めとして。昨年日本一に届かなかった時の喪失感っていうのが強烈に残っているんで。そこを達成して初めていいシーズンだったということになる。だから2025年を本当のいい年で終わるために、次の山、その次の山に向けてしっかり準備したいと思います」
2軍監督時代から口にしてきた「人生ネタ作り」
――孫オーナーからワインというのは。 「去年もありましたよ。超高価なお花とワイン」
――2日間はゆっくりできた? 「きのうは息子にお祝いしてもらいました。焼肉を食べたんですけど、初めてご馳走になりました。記念すべき日ですね」
――昨年、日本一を逃した時の喪失感があったと。 「昨年は浮かれてもいなかったし、そこに向けての準備もしていたんですけど。日本一を獲れないと今までやってきたことが……というのは自分の中であったので。あと2つ山がありますけど、今は頭を切り替えて準備しています」
――正木智也選手が「みやざきフェニックス・リーグ」で本塁打。 「『代打で必要となれば……ってコメントを(正木選手が)見た』っていうのも目にしました。本当に代打で必要となれば、帰塁ができないといけないですからね。その分、足(代走)もいるじゃないですか。そこまでは考えていますね。状態を上げてこちらを悩ませてくれているのは嬉しいことです」
――CSのファイナルステージに向け、投手陣のシミュレーションは。 「ファーストステージの2、3試合はテレビで見ようかなと思っています。ある程度の予想をした中で、どういう打順を組むのか考えている最中です」
――昨年、日本一を逃した。準備の面で変えることは。 「その前に最初の山を登らないといけないので。とにかく(CSファイナルで)3勝すること。まあ、何がと言われたら、詰め込みすぎるのはやめておこうと思っていますね。データや数字もありますけど、その時の選手の動きや自分の直感を信じて決断したいなと。シーズンでも決断はしてきましたけど、短期決戦で落とせない“欲”というか。去年はものすごく迷ってしまったので」
野村勇の姿ににじむ“王イズム”とホークスの文化
――短期決戦で時間もないだけに、監督の力も問われる。 「だから、あまり詰め込みすぎて頭が働かないようになるのは避けたいです」
――背部痛の周東佑京選手、左脇腹を痛めている近藤健介選手はCSには間に合わない想定をしている? 「間に合わない想定ですね。佑京はともかく、近藤は厳しいです。脇腹なので、回復は難しい。日本シリーズになれば可能性は残りますけどね。CSはいないものだと思って、そういう話はコーチ陣にはしています。それを含めて17人、16人の誰を選ぶのか考えたいです」
――終盤を見ていると、柳田悠岐選手の存在が鍵を握る? 「ゲームをする中でらしさは戻ってきている。反対方向への打球も出てきているし、練習を見ていても若いですよね」
――柳田選手も9日で37歳になる。 「『俺は37歳のシーズン、CSも含めてフルで出場したからね』と、彼には伝えています」
――野村勇選手が侍ジャパンに選出された。 「代走と守備固めから始まったシーズンで、最後は侍やからね。人生何が起こるかわからんよね。でも毎回いうのは、チャンスが来た時に結果を出せるだけの準備をしていたということ。それはホークスのいいイズムです。彼のような立場からでも腐らずにやっていれば掴めるということを示しましたよね」
――中村晃選手らベテランが残してきたもの。 「僕がいなかった時からじゃないですか? 足りないところはトレーニングや練習で補う。みんな球場入りも早いしね。準備をずっと続けるのは王イズムであり、ホークスの文化だと思います」
(竹村岳 / Gaku Takemura)