田中将大に「何としても勝ちを」 阿部巨人に200勝の重圧、杉内コーチは複雑な思い
■中日 4ー3 巨人(13日・東京ドーム)
これが大記録のプレッシャーなのか。3点リードの5回。巨人・田中将大投手は二塁・門脇の送球エラーから同点に。5回7安打3失点で日米通算199勝はお預けとなった。チームも惜敗。東京ドームの薄暗い通路で、ベテラン右腕は声を絞り出した。
「今日はゲームを通して、いい守りに助けられていたので。1点を失った後になんとかカバーして抑えたかった思いが強かった。絶対にリードを保ったまま降りないといけないと思っていた。結果的に追いつかれてしまうことで後続の投手たちがキツくなって、負担をかけてしまうことになった。本当に申し訳ない気持ちです」
楽天で伝説の開幕24連勝を決めるなど通算119勝。メジャーの78勝と合わせ、200勝まであと3勝で巨人へやってきた。今季初登板となった4月3日の中日戦で幸先よく1勝を挙げたが、その後の4か月間、勝ち星に恵まれていない。
田中将は「簡単じゃないのは分かっている。勝ちにつながる、勝ちに近づける投球をしないといけない」と自らへ言い聞かせるが、田中将の200勝は少なからずナインのプレッシャーになっているようだ。二塁・門脇は痛恨の悪送球について「僕の実力不足」と振り返った後に、消え入りそうな声でこう語った。
「本当に200勝間近で、ああいったミスで負けた。本当にすみませんというしかないです」。誰もが勝たせたいと思うからこそ、1プレー1プレーに異様な重みが出てきているようだ。
チームは1点差ゲームを落とし、3カードぶりの負け越し。阿部慎之助監督の取材対応はなく、試合後に足早に球場を後にした。田中将の今後はどうなるのか? 杉内俊哉投手チーフコーチは「監督と話してないので分からない。正直分からないですね」と語り、起用法に関する複雑な思いを打ち明けた。
「どうしても200勝ありきで考えるとダメですね。やっぱりチームが勝つのが大前提なので。その中で勝ちをもぎ取って欲しいなと僕は思います。僕は特別扱いをしたことはないですし。ただ、特別な感情というのはマー君に対しては、ありますからね。何としても勝ってもらいたい。ずっと戦ってきた選手ですから。是が非でもと思いますよ。ただ、勝つことが大前提なので」
田中将の大台へあと2勝。阿部巨人にもプレッシャーのかかる試合が続いていく。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)