ビットコインに富裕層マネー流入、モルガンSの仕組み債に1億ドル超
デジタル資産価格が下落する中、モルガン・スタンレーは、複雑な新型ビットコイン連動商品に富裕層顧客から異例の需要を集めている。
WSD傘下のストラクチャード・プロダクツ・インテリジェンスのデータによると、同行は今月、ブラックロックの「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」に連動する仕組み債を1億400万ドル(約162億円)相当販売した。これは、米国で現在流通する仮想通貨連動債の中で、IBITの次に人気ある商品の5倍に相当する規模だ。
この2年物仕組み債は、ビットコインの価格変動に応じてリターンが決まる。ただ運用は厳格に制限された価格変動範囲内で行われ、満期時にIBITが横ばい、または上昇した場合に払い戻しが増え、25%未満の下落時には小幅な利益を保証する。規制当局への提出書類によれば、IBITが大幅に下落した場合、投資家は全額損失を被る。
これは、ビットコインの新たな位置付けを示している。仮想通貨は引き続き投機的な商品として取引されているが、金融機関の間ではこれを本格的な資産クラスとして扱う動きが強まっている。つまり、リスクモデルに組み込み、オプションでヘッジし、富裕層向けにパッケージ化できる存在になりつつある。ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど複数の金融機関もここ数カ月で仕組み債を発行しており、いずれもIBITを仮想通貨のエクスポージャーの基盤としている。
WSDのデータおよびプラットフォーム責任者、ティアゴ・フェルナンデス氏は「仕組み商品は、仮想通貨レベルのリスクを負わずに仮想通貨レベルのボラティリティーを扱うことができ、主流投資家にとっては最も安全な手段になりつつある」と述べ、「一定のプロテクションを備えた米国証券として発行されることは、投資家にとって非常に興味深い」と続けた。
モルガン・スタンレーの広報担当者は、IBITについてコメントを控えた。
ビットコインは直近の高値から約30%下落している。投資家の受け入れは進みつつあるが、ビットコイン相場は落ち着いたとは言い難い。ウォール街は今、好奇心を持ちつつ慎重な投資家向けに、混乱を抑える商品づくりに取り組んでいる。
原題:Morgan Stanley’s Complex Bitcoin Bet Draws $104 Million in Rout
(抜粋)