「大谷翔平は勝負弱い」は完全に間違い 得点圏打率.200、打点61位も…証明するメジャー1位

 大谷翔平投手は勝負弱いのか――大谷は今季39試合出場でリーグ2位の12本塁打、1位のOPS1.051をマークしている。一方で打点数は21。メジャー61位となっている。得点圏打率も.200にとどまり、「チャンスで打てない」との声も聞かれるが、実際は全くの逆と言っていい。

 大谷の今季初打点は開幕2試合目の3月19日カブス戦。今季1号ソロとともに生まれ、27日(日本時間28日)の米国開幕戦での2号で2打点目となった。その後も本塁打でしか打点が稼げない状況が続き、16日(日本時間17日)のロッキーズ戦で初めて今季初タイムリーを記録した。

 4月を終えて得点圏での成績は17打数2安打の打率.118、本塁打はゼロ本。7本塁打10打点と“歪”な数字が並んだ。8日(日本時間9日)の敵地ダイヤモンドバックス戦では今季11号ソロをマーク。データに特化した米データ会社「オプタ・スタッツ」は試合後、「5月以降で本塁打、長打、総塁打でトップ5入りしながら、打点で90位以下にランクインした選手は初めて(打点が公式記録になった1920年以降)」とし、いかに大谷の成績が“謎めいている”かを投稿。日米で大きな話題を呼んだ。

 得点圏で打てていないのは事実であり、確かに大谷は勝負弱いとも定義できるかもしれない。しかし、得点圏打率は必ずしもその実態を捉えていない。例えば、大差の試合で打った適時打、9回サヨナラの得点圏で打った本塁打はヒットとしては同じ1本だが、持っている“価値”は言わずもがな大きく異なる。

 そうしたシチュエーションの状況を加味して、真の勝負強さを測る指標がセイバーメトリクスにある。「WPA(Win Probability Added)」だ。プレーにより勝敗の期待値がどれだけ変化したかを測り、。例えば、大差の試合で1本打っても評価は上がらないが、同点での勝ち越し打、サヨナラ弾などは高く評価される。

 そして、大谷が「WPA」を跳ね上げた試合がある。9日(同10日)の敵地ダイヤモンドバックス戦で放った12号だ。8-11の9回にチームが追い付き、11-11に大谷が勝ち越しの決勝3ラン。バンザイして確信したシーンは記憶に新しいだろう。まさに「ここで1本欲しい」場面で打った象徴的なシーンであり、得点圏での安打は1だが、そのインパクトは絶大だった。

 振り返れば、大谷の今季の本塁打もいい場面で出ている。4月2日(同3日)ブレーブス戦で放った今季3号はサヨナラ本塁打。先頭打者アーチも2本記録しているが、いずれも0-1ビハインドを取り返す同点弾だった。得点圏打率こそ低いものの、大谷の打撃は価値ある状況で生まれている。そして、11日(同12日)時点での「WPA」は2.55。メジャートップに君臨している。

 また、4月こそ全くだった得点圏での成績も、5月は打率.375、2本塁打、OPS1.569としっかり状態を上げている。大谷翔平は勝負弱いのか――答えは否、だ。

(Full-Count編集部)

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