U-20W杯をFP18人で戦う難しさ…U-20日本代表・船越監督が明かす、アジア杯からFW2人減、DF2人減の理由

船越優蔵監督

 21人という少ないメンバー構成で最大7試合の短期決戦に臨む。“ロス五輪世代”のU-20日本代表は今月下旬からチリで行われるU-20ワールドカップに参戦。12日のメンバー発表会見で船越優蔵監督は「GKが3名なのでフィールドは18名。各ポジション2名は選べないということが現状」と難しさを口にした。  U-20W杯予選となった今年2月のAFC U20アジア杯は23人で臨んだ。今月27日に初戦を迎えるU-20W杯の登録メンバー枠は21人。GK3人を除くとフィールドプレーヤー(FP)は18人で戦うことになり、10か所のポジションすべてに2番手は揃わない。  2年前の大会でもMF松木玖生(現サウサンプトン)やMF佐野航大(現NEC)らがポリバレント性を発揮。一方で、高さに対応するためにCB高井幸大(現トッテナム)が右SBとして全試合で起用されるなど、難しい台所事情もあった。今大会も引き続き、複数ポジションをこなせる選手の重要度が高い大会となる。 「スタッフとも何回もミーティングをして、さまざまなシミュレーションをした。交代はどうするか、点を取るときはどうするか、守り切るときはどうするか。過去の大会を見て、連戦でどういう選手を代えていっているか。そういうところを含めて選んだ」(船越監督)  各ポジションの人数構成には、船越監督の考えがあった。2月のU20アジア杯のFPはFWが4人、MFの2列目が4人、ボランチが4人、SBが4人、CBが4人だった。U-20W杯はFWが2人、MFの2列目は6人、ボランチが4人、SBは3人、CBは3人。FWが2人減り、2列目は2人増えた。指揮官はFWと2列目でどちらでも、かつ中央でもサイドでもプレーできる選手を選んだという。 「前線は少ないけど、サイドハーフの選手がFWもでき、FWの選手もサイドができる。たとえば高岡(伶颯)はFWだが、いまバランシエンヌではサイドハーフをやってたり、横山(夢樹)もFWをやっている。そういうポリバレントな選手がいるので、組み合わせは非常にたくさんある。何が最適解かを選んでいきたい」 「連戦というところもあるので、サイドの選手、前線の選手は厚く持って、とにかく100%を出して次の選手にバトンをつなぐようなイメージを持って選んだ」  FW+MFの合計が12人と変わらないなかで、U20アジア杯から2人減ることになったのは守備陣。合計6人となり、SBとCBでそれぞれ4人から3人に減った。だが短期決戦だからこそ、船越監督はあえて守備陣の人数を減らしたという。 「DFに関しては、大会のなかでそんなにガラッと変えられないというところもあるので、意図的に少なくして、コンビネーションを図れるようにということは考えた」

 指揮官が口にしたポリバレント性はFWや2列目の選手だけはない。ボランチにはMF大関友翔(川崎F)やMF石渡ネルソン(いわき)といった1列前でできる選手もいれば、SBには高校1年までFWでプレーしていた梅木怜(今治)や、守備的ポリバレント性に優れ、CBでもSBでもプレーできる森壮一朗(名古屋)もいる。何が起こるかわからない短期決戦のなかで、臨機応変に対応できる構成になった。

 船越監督は「いずれにせよ、21名は僕が自信を持って選んだ」と胸を張る。「誰を送り出すのか、どのカードを切るのか。自信を持って選べるメンバーだと思っているので、非常に心強い」。チームは16日に日本を発ち、大会直前までパラグアイで合宿を行う。その後、開催国チリに移動し、日本時間28日午前5時開始のグループリーグ初戦でエジプトと対戦する。 以下、U-20日本代表メンバー21人 ▽GK

中村圭佑(東京V)

ピサノアレックス幸冬堀尾(名古屋) 荒木琉偉(G大阪) ▽DF

塩川桜道(流通経済大)

市原吏音(大宮) 梅木怜(FC今治) 喜多壱也(ソシエダ) 小杉啓太(ユールゴーデン) 森壮一朗(名古屋) ▽MF

大関友翔(川崎F)

平賀大空(京都) 小倉幸成(法政大) 斎藤俊輔(水戸) 石渡ネルソン(いわき) 中川育(流通経済大) 石井久継(湘南) 横山夢樹(今治) 中島洋太朗(広島) 佐藤龍之介(岡山) ▽FW

神田奏真(川崎F)

高岡伶颯(バランシエンヌ) (取材・文 石川祐介)●U-20ワールドカップ2025特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

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