ブラックロック、米株式比率を引き上げ-AI相場調整でも強気維持
世界最大の資産運用会社ブラックロックは、1850億ドル(約29兆円)規模のモデルポートフォリオ全般で米国株へのエクスポージャーを拡大している。人工知能(AI)関連銘柄を中心とした今年の相場上昇の持続力に懐疑的な見方が強まる中でも、株式の比重を引き上げている。
ブルームバーグが確認した投資見通しによると、同社は株式のオーバーウエート比率を3%に拡大。9月にもリスク資産への配分を増やしていた。今回の配分調整を受けて、ブラックロックの関連上場投資信託(ETF)間で18日に数十億ドル規模の資金が移動したことが、ブルームバーグがまとめたデータで示された。
AI関連銘柄の高いバリュエーションや、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが想定よりも緩やかになるとの見方を背景に株式市場に下押し圧力がかかる中、ブラックロックはモデルポートフォリオを通じて相場を下支えする格好となっている。
同社は書簡で、S&P500種株価指数の6カ月にわたる上昇は11月にやや勢いを失ったものの、米企業業績は引き続き好調で、インフレは鈍化しつつあり、FRBの利下げ継続が可能になるとの見方を示した。
ブラックロックのターゲット・アロケーションETFモデルポートフォリオのリード・ポートフォリオマネジャー、マイケル・ゲイツ氏は同投資見通しで、「直近の力強い決算シーズン、FRBの緩和姿勢、総じて流動性が改善している環境は、リスク資産に前向きなスタンスを維持する根拠となる」と述べた。
複数のファンドを組み合わせ、金融アドバイザー向けに設計された投資戦略であるモデルポートフォリオは、近年急速に人気を高めている。ブラックロックのモデル資産は約1850億ドルと、年初の1500億ドルから増加しており、同社の配分変更は自社ファンド間での巨額の資金流入・流出を引き起こし得る。
同社は米国株のオーバーウェイトを強化する一環として、モデルプラットフォームのファクター別傾斜も「刷新」している。成長株の比重を下げ、バリュー株やモメンタム株を重視する方針だ。
ブルームバーグがまとめたデータによると、直近の取引日にはiシェアーズMSCI米国クオリティー・ファクターETF(ティッカー:QUAL)から過去最大の42億ドルが流出。一方で、iシェアーズS&P500バリューETF(IVE)には32億ドル、iシェアーズMSCI米国モメンタム・ファクターETF(MTUM)には13億ドルがそれぞれ流入した。
「市場の主導セクターは引き続き入れ替わっており、モメンタム戦略が足元のトレンドを捉える一方、バリュー株へのエクスポージャーが重要な均衡をもたらしている」とゲイツ氏は説明。「成長株は依然として重要なテーマだが、意図的にそのオーバーウエートを一部縮小し、バリュー株を追加するとともに、クオリティー株からモメンタム株へと軸足を移している」と続けた。
原題:BlackRock’s $185 Billion Models Lift Stock Bets as Tech Unravels(抜粋)