ビットコイン投資戦略の持続性に疑問符-ストラテジー株が大幅下落
- 市場で逆風に直面、ビットコイン保有へのプレミアムの多くが喪失
- 債務や株式発行通じビットコイン購入する手法は多くの企業に影響
暗号資産(仮想通貨)ビットコインに積極投資する米ストラテジーの戦略が、市場で逆風に直面している。同社を率いるマイケル・セイラー氏が広めたビジネスモデルの持続可能性に疑問が浮上している。
ストラテジーの株価は今月、15%下落。長く享受してきたビットコイン保有に対するプレミアムの多くが失われた。暗号資産市場のセンチメントを示す指標として注目されてきた同社に対し、新たな懐疑論が持ち上がっている。
特に懸念されているのは、資金調達の戦術だ。同社は優先株を将来のビットコイン購入の主要な手段としているが、最近発行した優先株の需要は低調で、調達額は4700万ドル(約69億円)とセイラー氏が目指していた規模を大きく下回った。同社は以前、希薄化を抑制する方針を示していたが、この未達の分を埋め合わせるため普通株の発行に回帰。この方針転換が投資家に動揺を与えた。
これは同社だけに関わる問題ではない。債務や株式発行を通じてビットコインを購入し、市場のプレミアム付与を見て繰り返すセイラー氏の手法は、多くの企業の戦略に影響を与えた。
ビットコイントレジャリーズ・ドット・ネットによれば、そうした企業群はビットコインの供給のうち4.7%、総額1080億ドル余りを保有している。ストラテジーのプレミアムが崩壊すれば、このモデルへの信頼は揺らぎかねない。
ウィンターミュートのOTCデスクのアナリスト、ジェイク・オストロフスキス氏はプレミアムの低下について「競争と、トレーダーによるデジタル資産投資の代替手段を受けた自然な反応だ」と評価。株式発行回帰を巡って企業戦略への短期的な再評価を余儀なくされたとの見方も示した。
ストラテジーはコメントの要請に応じなかった。
ストラテジーはそれほど規模の大きくない企業向けソフトウエア会社だったが、セイラー氏が2020年にビットコインに資金を投入しウォール街に衝撃を与えたことで状況が一変した。それ以降、同社株は収益力に対する評価ではなく、保有ビットコインのmNAV(修正純資産価値)の倍率を基に取引されるようになった。
原題:Michael Saylor Hit by Market Revolt as His Bitcoin Premium Sinks(抜粋)