ハイテク7強、割高感薄れたものの投資家動かず-不透明感で底見えず

米株式市場では最近の売り浴びせで、大型ハイテク銘柄のバリュエーションが極めて高い水準から下げてきている。だが多くのトレーダーは、この低下はさらに続く余地があるとみている。

  S&P500種株価指数が過去最高値から10%下落する中、ハイテク大手7社「マグニフィセントセブン」の予想利益に基づく株価収益率(PER)は今週低下し、昨年9月以来の水準となった。ただこのバリュエーションでも、ハイテク大手の利益が圧迫された2018年と22年に付けた極めて低い水準からは程遠い。また現在では先行きを曇らせる要素が増えている。マグニフィセントセブンはアップルとマイクロソフト、エヌビディア、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、テスラの7社で構成する。

  レバレッジ・シェアーズのシニア調査アナリスト、ビオレタ・トドロバ氏は「バリュエーションが12月よりずっと改善していることは確かだが、これが底だとは思わない」とし、「押し目買いの誘惑に駆られてはいるが、依然として不確実性は非常に強い。状況は改善する前に悪化すると私はみている」と述べた。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、ここ最近の売り浴びせにより、ブルームバーグ・マグニフィセントセブン指数の予想PERは26倍となった。ただ18年と22年に記録した予想PERは約19倍で、まだ低下余地が十分残されていることが分かる。

  ハイテク株中心のナスダック100指数は、14日に反発したものの、週間では2.5%下落。2月に付けた最高値からは11%下げている。同指数の構成銘柄で最大のウエートを占めるアップルは、週間ベースで約2年ぶりの大きな下げとなった。

  株式市場の景色が一変したことを意味する。つい1カ月ほど前は、トランプ政権が経済成長を刺激し規制を緩和するとの期待から、株式市場には投資資金が集まり、アルファベットやアマゾンといったハイテク大手は最高値を更新していた。そうした期待はここ最近で崩れた。トランプ大統領や政権首脳らは、米経済を劇的に再構築するという長期的な野望を追求するためなら、株式市場での損失や短期的な経済の痛みもいとわないと明言している。

  そうした状況を受けて投資家はリスク資産から撤退し、保有するハイテク大手株の利益確定に動いている。

  過去10年間、大型ハイテク株が下がった時に買いを入れれば大きく報われるということを、投資家は繰り返し教えられてきた。ナスダック100が33%下落した22年のような長期低迷でも、メタのような売りたたかれた銘柄はその後の2年間で急上昇した。下げた時点が絶好の買い場だったことが証明された。

  市場での支配性や極めて大きな収益性、バランスシート上の豊富な現金を背景に、ハイテク大手は依然として世界で最も質の高い企業だというのがほぼ共通した認識だ。問題は、そうした優位性が既に株価に織り込まれているのかどうか、そして経済成長が減速して人工知能(AI)への大きな賭けが期待通りに実を結ばなかった場合、脅威にさらされるリスクがあるということだ。

  ナスダック100は、17営業日前に過去最高値で取引を終えて以降に6回上げているが、いずれの上昇も短命で終わっている。

  Bライリー・ウェルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「自ら進んで落ちてくるナイフをつかもうとする人はいない」とし、「不確実性があまりにも強い。反発が持続しないのはそのためだ」と述べた。

原題:Big Tech Stocks at Cheapest In Months Fail to Entice Wary Buyers(抜粋)

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