ウクライナ和平案、西側首脳が修正要求 トランプ氏は柔軟性示唆

 西側諸国の首脳は22日、米国が提示したウクライナ和平案について協議した。写真はロシアのミサイル攻撃を受けたウクライナ・テルノピリの集合住宅。ウクライナ国家非常事態庁提供(2025年 ロイター)

[ヨハネスブルク/キーウ 22日 ロイター] - 西側諸国の首脳は22日、米国が提示したウクライナ和平案について協議し、戦争終結に向けた協議の土台となり得るものの、「追加の作業」が必要だとの見解を示した。

協議は南アフリカのヨハネスブルクで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20)に合わせて行われ、日本、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、スペイン、オランダ、フィンランド、ノルウェー、欧州連合(EU)の首脳が参加した。

首脳らはロシアの侵攻終結に向けた28項目の和平案について、声明で「公正で持続的な平和に不可欠な重要な要素が含まれている」と指摘した上で、「この草案は土台であり、追加作業が必要だと確信している」との認識を示した。

また、英独仏の国家安全保障顧問が23日にジュネーブで米国、ウクライナ、EU当局者と会談し、さらなる協議を行うことで合意した。

首脳らは「ウクライナの軍事力に対する制限は、将来の攻撃に対しウクライナを脆弱にする恐れがある」との懸念を示した。「EUおよび北大西洋条約機構(NATO)に関わる要素の実施には、それぞれの加盟国の同意が必要だ」と改めて強調した。

欧州諸国はジュネーブでの会合でトランプ米大統領の計画に対し、修正を提案する構えだ。トランプ氏は22日、提案は最終案ではないと述べ、調整の余地があることを示唆した。

米国務省高官はルビオ国務長官が会談のためにジュネーブへ向かったと明らかにした。外交筋によると、イタリアも当局者を派遣する予定だという。

フランスのマクロン大統領は「米国の提案だけでは不十分な点が多く、より広範な協議が必要だ」と述べ、和平合意はウクライナの平和と「欧州全体の安全」を確保するものでなければならないと強調した。

ドイツのメルツ首相は、欧州がウクライナを支援する重要性を強調し、「もしウクライナが敗北し崩壊すれば、欧州の政治全体、ひいては大陸全体に影響が及ぶ。だからこそわれわれは真剣に取り組んでいる」と述べた。「戦争を終わらせる好機はあるが、誰にとっても良い結果にはまだ程遠い」との認識を示した。

また、北欧とバルト三国の首脳は首脳は22日、ウクライナのゼレンスキー氏と会談し、武器供与の継続を約束した。

ゼレンスキー氏は「ウクライナは現在、極めて難しい選択を迫られている。尊厳を失うか、主要なパートナーを失うリスクを負うかだ」と述べ、「和平案の少なくとも2点、ウクライナ国民の尊厳と自由が見過ごされないよう、不眠不休で取り組む」と表明した。

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Anastasiia Malenko is a journalist covering breaking news in Ukraine. She writes about key political and economic developments in daily stories about the war. In her feature reporting, Anastasiia focuses on how the war reshapes the Ukrainian society. She also examines military strategies and developments through battlefield analysis.

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