金・原油はイラン戦争次第の展開、5月は海峡封鎖で持久戦 <GW特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 金・原油相場はイラン戦争次第となる見通しである。対立激化なら供給不安から原油が上昇し、リスク回避の動きで金が下落する。停戦合意期待が高まれば原油が下落し、リスク回避一服により金が上昇するという動きになりやすい。ただ、イラン戦争は3月の軍事施設への爆撃や要人排除などの直接攻撃から4月の停戦協議決裂をきっかけに米軍の海上封鎖に転じ、イランのホルムズ海峡封鎖と合わせて各国経済がどこまで耐えられるかという持久戦になっている。  パキスタンの仲介で実施された停戦協議はイランが提案した10項目をもとに行われ、トランプ米大統領はおおむね合意したと伝わったが、核開発やホルムズ海峡という核心的な問題で大きな隔たりがあることが指摘され、平行線となっている。イランのガリバフ国会議長は「米大統領は交渉のテーブルを降伏のテーブルに変えようとしている」と述べ、米国が過大な要求をしていると主張。核問題に関しては、イランがウラン濃縮を自国の権利と主張する一方、米国はイランに核兵器を持たせるわけにはいかず、歩み寄りの気配はみられない。2回目の停戦協議が見送られ、米大統領が停戦延長と港湾封鎖の継続を発表すると、イランはホルムズ海峡で貨物船を拿捕するとともに国内の防空システムを作動させるなど、徹底抗戦の姿勢を示した。  米国の戦争権限法では開戦後、60日の期限で戦闘継続に米議会の承認が必要になる。ただ、国家安全保障に関わる場合は更に30日延長できるため、5月末が期限になる。一方、各国は調達先を米国に変えるなど石油不足の解消に奔走しているが、肥料や穀物価格への影響も出ており、景気の悪化を懸念して米国やイランに対する停戦圧力を強めるとみられる。

は投資資金流出やトルコ・ロシアの金売却が圧迫

 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールド・シェア<GLD>の現物保有高は、4月24日に1046.62トン(2月末1101.33トン)と減少。イラン戦争開始でドル高に振れたことを受けて投資資金が流出した。停戦協議を受けて戦争の早期終結期待が高まると投資資金が戻ったが、協議決裂で再び資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは4月21日時点で16万4006枚(2月24日15万9177枚)となった。3月の価格急落を受けて16万8327枚まで拡大したが、戻り場面で縮小した。

 各国の中央銀行は3月の価格急落場面で金準備を拡大したが、トルコはリラ急落に対処、ロシアはウクライナ戦争による財政圧迫を解消するため、それぞれ金準備を売却した。イラン戦争が続けば、インフレ高止まりと景気後退のスタグフレーションになる恐れがあり、現金化の動きが続くとみられる。

原油は調達先の変更や各国の備蓄量を確認

 イラン戦争によってホルムズ海峡が事実上封鎖され、湾岸諸国からの輸出がほぼ停止した。石油価格上昇を受けて国際エネルギー機関(IEA)の加盟国は、協調して過去最高の4億バレルの備蓄放出で合意した。また、米財務省はロシア産原油の制裁解除を発表した。各国は原油の調達先を中東から米国に変更した。日本の備蓄量は248日分あり、3月16日から備蓄放出を開始した。各国の備蓄量も注視したい。  一方、原油価格の上昇を受けて肥料や食料の価格も上昇した。インフレ高止まりを受けてオースラリア準備銀行が利上げを決定し、ニュージーランド準備銀行も利上げするとみられている。米連邦準備理事会(FRB)は景気後退の可能性もあることから、当面は金利据え置きを継続するとみられている。インフレ動向を引き続き確認したい。 (MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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