【日本市況】株は4日続伸、米AI投資期待-債券はタカ派日銀を警戒
23日の日本市場では株式が4日続伸。日経平均株価は一時4万円を回復した。米国で巨額の人工知能(AI)投資への期待から大型テクノロジー株が上昇した流れを引き継ぎ、電機や機械株が上昇した。株高によるリスク選好の動きから、円相場は1ドル=156円台後半に売られる場面があった。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、AI巨額投資計画は米国に基本的な技術力が備わっているだけに息の長いものになる可能性があるとし、日本企業にもその恩恵が及びそうだと述べた。
24日の日本銀行の金融政策決定会合について、金利スワップ市場(OIS)は利上げをほぼ完全に織り込んでおり、市場参加者の注目は次の利上げの時期に移っている。債券は会合後の植田和男総裁のタカ派的な会見を警戒して、中長期債が軟調に推移した。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、「植田総裁は会見で次の利上げは6月か7月、9月のどこかになると思わせぶりなコメントをするのではないか」との見方を示す。
国内株式・債券・為替相場の動き- 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.5%高の2751.74
- 日経平均株価は0.8%高の3万9958円87銭
- 一時4万0036円07銭まで上昇-取引時間中の4万円台回復は8日以来
- 長期国債先物3月物の終値は9銭安の140円93銭
- 新発10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.205%
- 円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.1%安の156円62銭-午後4時26分現在
- 156円29銭に上昇後、一時156円75銭まで下落
株式
東京株式相場は続伸。電機や機械のほか、情報・通信、サービス、非鉄金属などが上昇した。
TOPIXの上昇に最も寄与したのは三菱重工業。米国でのAI大型投資により発電事業への需要が高まるとの期待から、8.6%値上がりした。前日に11%上昇したソフトバンクグループは5.1%高と続伸。指数構成銘柄2119のうち、811銘柄が上昇し、1182銘柄が下落した。
TOPIX銀行業指数は一時1%近く下げた後、0.1%高で引けた。アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは、日銀の利上げは完全に織り込み済みで、利益確定売りを誘発していると指摘していた。
債券
債券相場は中長期債が下落。日銀のタカ派的な利上げに対する警戒感から売られた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「過去の経験では日銀は利上げ決定時にはその背景説明を強調するので、どうしてもタカ派に聞こえてしまう」と指摘。実際に植田総裁の会見を聞くまで、短いゾーンは軟調な地合いが続くとみる。
一方、40年債は買われた。三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは「これまで最も売られていた40年債を買い戻す動きが出ている」と指摘。利上げ過程では通常、短いゾーンが売られる一方で長いゾーンは買われ、利回り曲線がフラット(平たん)化する傾向にあり、きのう、きょうとそうした動きが続いていると話した。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.695% 0.875% 1.205% 1.890% 2.250% 2.650% 前日比 +0.5bp +0.5bp +1.0bp +0.5bp 横ばい -1.0bp為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=156円台半ば。株価上昇でリスク選好の円売りが優勢になる場面もあった。半面、日銀がきょうからあすまで開く決定会合で追加利上げを実施するとの見方は円を下支えした。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、「植田総裁の会見はややハト派的とみている向きが多いようだ」と指摘。このため、思いの外タカ派的となれば円高になる可能性があると述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。