ECBは年内あと3回利下げ、市場が完全に織り込む-ユーロ一段安へ

Naomi Tajitsu

  • 数カ月内にドルとユーロがパリティーになり得ると多くが予想

  トレーダーは欧州と米国の金利差がさらに拡大するとの見方を強めており、ユーロは明確に一段安の道筋をたどっている。

  31日に発表されたドイツとフランスのインフレ率の低さは、30日に利下げを行った欧州中央銀行(ECB)がさらに金融緩和を進めるという市場の見方を強めた。

  一方、米連邦準備制度は29日に金利を据え置き、利上げの一時停止を示唆したため、ドルはより魅力的な通貨だということになる。

  大きな疑問は、ユーロがどこまで下落がするかだが、今後数カ月のうちにドルとユーロがパリティー(等価)になり得ると多くが予想している。

  トレーダーは、年末までにECBがさらに3回の利下げを行う可能性を100%織り込んでおり、4回目の利下げの確率はほぼ30%となっている。市場が織り込む年内の追加利下げ幅はインフレデータ発表後に83ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。

  トランプ米大統領が関税を課すという公約を実行に移した場合、ECBはさらに踏み込んだ措置を取らざるを得なくなる可能性がある。

  JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル市場ストラテジスト、マシュー・ランドン氏は「今週の金融決定会合は、政策の乖離(かいり)を裏付けるものとなった」と述べた。

  関税はさらにその差を広げ、「ユーロとドルの為替レートが等価になる可能性が再び浮上する」と付け加えた。

  ユーロは今月、2年ぶりの安値となる1.0178ドルを付けた。31日は一時1.0365ドルに下落した。

原題:*TRADERS SEE MORE ECB EASING, 83BPS OF CUTS EXPECTED FOR 2025、Euro Set for Deeper Decline as Market Sees More ECB Rate Cuts(抜粋)

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