「やるかやられるか」 ベッツが繰り出した"秘技"の舞台裏「全部一瞬の出来事」
【MLB】ドジャース 4ー3 フィリーズ(日本時間7日・フィラデルフィア)
【注目】久保竜彦が“勘ピュータ”でガチ予想!? 元日本代表の読みは当たるのかを検証やるか、やられるか――。1点差に迫られた9回無死二塁。ドジャースの遊撃手ムーキー・ベッツが大きな賭けに出た。三塁前へ転がったストットのバントに三塁・マンシーが猛チャージ。振り返って三塁送球すると、ベースカバーに入った遊撃・ベッツが二塁走者・カステヤノスをタッチアウトに。一打同点となるピンチを防いだ。
ベッツ「正直、三塁ベースに着くまでマンシーの動きは見えてなかったです。(遊撃から三塁まで)全力で走ってカステヤノスに勝たなきゃと思ってたので。全部が一瞬の出来事で、気がついたら倒れ込んで、ボールを掴んでました」
マンシー「間違いなく大きかった。あそこで二塁走者を消して、しかもアウトを1つ取れた。それだけで試合の空気が一変した」
二塁に走者がいるケースで一塁手と三塁手が前へチャージをかけ、遊撃手が三塁ベースカバーに入るバントシフトは「ブルドッグ」と呼ばれる。一塁から三塁までガラ空きになるギャンブル性の高いシフトを、ここ一番で繰り出した。
ストットを打席を迎えた場面で、内野陣がマウンドに集合。ベッツがこの“ギャンブルシフト”を提案したという。
ベッツ「あの場面は相手に流れがいっていて、なんとか止めたかった。もし流れを止められるなら最高だと思ってやったんだ」
ベッツは外野手から遊撃手に転向して2年目だ。シーズン中は毎日のようにミゲル・ロハス内野手と守備力強化を図っているが、このブルドッグは今季のシーズン序盤にロハスから学んだ連係プレーだ。
ベッツ「シーズン序盤にアナハイムで一緒にやって、彼に『どんな場面でやればいい?』と聞いたんだ。そしたら、『勝負所で“やるかやられるか”の状況で出すプレーだ』と教えてくれた。今日はまさにそういう場面。それを信じて決めた。正直、慣れている感じではなかった。でも、誰かが決めて動かなきゃいけない場面だった。『ここだ』というタイミングがあるなら、あれがまさにその瞬間だった」
失敗すれば無死一、三塁に。1点リードしていた状況とはいえ、試合の流れを完全に逸していた可能性が高い。それでも自分たちを信じ切った。
ベッツ「チーム全員が信頼しあっている。長く一緒にやってきたので、お互いの動きをわかっている。監督も『おまえたちで判断していい』と任せてくれているんです。あの場面もまさにそう。自分たちで決めて動きました」
チームは敵地フィラデルフィアで2連勝。8日(日本時間9日)の第3戦から舞台をロサンゼルスに移す。
ベッツ「ちょっとクレイジーな試合でした。でも、本当に楽しかった。2試合ともハードで、でもこういうゲームを勝てるのは最高だ。これぞポストシーズンという感じだ」
すでに3度のワールドシリーズ制覇を誇る32歳は笑顔を見せた。ドジャースはシリーズの主導権をガッチリつかんだ。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)