米利下げ、市場は織り込み不足-PIMCOのサイドナー氏

債券投資大手、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のマネジングディレクター、マーク・サイドナー氏は、米連邦準備制度が市場が現在織り込んでいるよりも積極的に利下げをする可能性があるとみている。このため、償還までの期間が短い米国債を有望視している。

  サイドナー氏は、米当局が2025年の恐らく後半に2回の0.25ポイント利下げを実施するとみている。さらに、その後の追加利下げの可能性もあると考えている。

  一方、スワップ市場は年内に2回未満の0.25ポイント利下げしか織り込んでいない。

  「われわれの予想では、米連邦準備制度は関税を考慮せず、関税は金融政策に直接影響しないだろう」と、非伝統的戦略の最高投資責任者(CIO)であるサイドナー氏は24日のシンガポールでのインタビューで述べた。

  「市場のプライシング、つまりトランプ米大統領就任がインフレを促すことは自明の理だという想定に、われわれは同意しない」と語った。

  トランプ氏による関税の脅威は、そのタイミングや規模に関する不確実性のためにトレーダーが市場の動きを予測するのが困難であることから、米国債にとって最大の不確実要素となっている。

  投資家が関税に備えたため1月半ばには10年物米国債利回りは4.81%まで上昇。しかしトランプ氏が就任後最初の週に姿勢を軟化させたように見えたため、4.53%まで低下した。

  38年の投資経験を持つサイドナー氏は、過去5年間で同種ファンドの91%を上回る実績を誇るピムコのダイナミック・ボンド・ファンドの運用を担当している。同氏は政策金利の変化に敏感に反応する期間2-5年の米国債を選好している。一方、米財政赤字が膨らんでいることから、より長期の債券には慎重な姿勢を示している。

  「トランプ氏はインフレをした助長したバイデン氏とハリス氏の政策を厳しく批判するキャンペーンを展開していた。従って、論理的に考えればインフレを批判しておきながら、インフレを促すような政策をすぐ実施するのは矛盾していると思われる」とサイドナー氏は述べた。

  ピムコのダン・アイバシンCIOは最近の英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、米金融当局はトランプ大統領の政策がさらに明確になるまで「当面の間」金利を据え置く可能性があるとの見方を示した。

  「ピムコ社内でもさまざまな意見がある」とサイドナー氏は述べた。

原題:Pimco’s Seidner Takes Contrarian View With Fed Cut Expectations(抜粋)

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