国立競技場は「MUFGスタジアム」に 社会と繋がる未来型スタジアム

国立競技場の愛称が「MUFGスタジアム」に決定した。NTTドコモらから構成されるジャパンナショナルスタジアム・エンターテインメント(JNSE)は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)をナショナルスタジアムパートナーに選定し、2026年1月から新名称「MUFGスタジアム」で運営する。

英語名称はMUFG STUDIUMで、略称は「MUFG国立」。契約期間は2026年1月から2030年12月31日までの5年間。

MUFGスタジアムの呼称のもと、国立競技場は、競技の場だけでなく、文化・経済・地域・社会とつながる「未来型スタジアム」を目指す。

ICT等の先端設備導入や技術開発支援、実証実験の場所としていくほか、人流と商流を活かす新たな事業価値創出などに取り組む。また国民や地域の声を生かしたスタジアム活用や、地方創生や文化継承のグローバル発信基地を目指す。

国立競技場
左からNTTドコモ前田社長、JNSE竹内社長、MUFG亀澤社長、MUFG高瀬グループCSO

JNSEは、NTTドコモを代表企業とし、前田建設工業、SMFLみらいパートナーズ、日本プロサッカーリーグの4社が構成企業として参画するコンソーシアムで、2025年4月から国立競技場の運営を担当している。JNSEによる民間運営体制に移行するとともに、イベント誘致の多様化や、社会課題解決、収益の社会還元などを掲げており、その一環として、「ナショナルスタジアムパートナー」を創設。パートナー第1号の三菱UFJフィナンシャル・グループがスタジアムの命名権を取得した。

MUFGを皮切りに、多様な業界からのナショナルスタジアムパートナーを募る計画で、2026年度中に複数の契約締結を目指している。なお、正式名称は「国立競技場」のままで、各競技団体が定めた運用が必要とされる場合は、MUFGスタジアムではなく国立競技場と呼ばれる。

JNSEの竹内晃治社長は、「国立競技場は、これまで日本のスポーツと文化の象徴であり続けてきた。これからはMUFGスタジアムとして伝統と格式を大切にしながらも、未来に向けて挑戦していく。これは単なる建物ではない。人々の感動が共鳴し、次世代に受け継がれる社会の心臓。MUFGスタジアム国立から、次の時代にふさわしい共創の場を作っていきたい」と語った。

NTTドコモの前田義晃社長は、国立競技場の民間運営にあたり、「公益性×収益性×社会性」の三位一体モデルが必要で、「国立競技場を開かれたスタジアムにする」と強調。その上で世界トップレベルのナショナルスタジアムを実現し、人・企業・地域を結ぶ「社会の心臓」としての国立競技場運営に取り組む。

NTTドコモの前田義晃社長

ドコモとしてもICT技術の提供だけでなく、同社が進めるアリーナやスタジアム運営など「ベニュー戦略」の最重要拠点と位置づけ。通信・決済と「リアルの場」での社会課題と技術・サービスを交差させる"未来の共創拠点”として運営していく。

民間運営により、イベントの多様化や飲食の刷新、フィールド管理の刷新、地域連携、ホスピタリティ強化などを予定している。

競技場を一周する赤いラインも新たなフィールド演出のひとつ。MUFGを意識したものだ

26年4月をめどに、飲食施設を刷新するほか、3階に新規のスイートルームを48室整備。また、ピッチレベルにも5室のスイートルーム新設するなど、スタジアムとしての付加価値を高めていく。

26年からのプロジェクトについては「KOKURITSU NEXT」(コクリツ・ネクスト)というテーマを掲げ、スポーツだけでなく、文化、教育、環境、観光、地域創生などの共創施策に取り組む。これまでの陸上、ラグビー、サッカーだけでなく、ラクロスの試合も予定しているほか、音楽などのエンタメも毎週展開し、年間120日以上の稼働を目指す。

ドコモ前田社長は、「日常に開かれた持続可能な社会インフラに進化させる。多様なイベント開催だけでなく、地域交流、教育、ウェルビーイングの場になる。それが次の時代の国立競技場だ」と説明した。

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤 宏規グループCEOは、ナショナルスタジアムパートナー契約について、「世界レベルのナショナルスタジアムを目指す、KOKURITSU NEXTに共感した。ここに参加し、我々が持つ、繋ぐ力を活かして、価値を高めていきたい」と参加理由について説明した。なお、ネーミングライツ等、パートナー契約の費用は非公開。

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤 宏規グループCEO
26年からモニュメントもMUFGスタジアムに
10月15日時点でのモニュメント

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