2025年4月の星空情報:22日は"4月こと座流星群"が極大

4月、柔らかな春雨が降るたびに、風が温かくなり春の花が開く時季となりました。夜、空を見上げると冬の星座は西の空に傾き、春の星座が少しずつその姿を現しています。

南には、春の星座の王者「しし座」が堂々と上っています。「ししのおおがま」と呼ばれる「?」を逆さまにしたような星の並びが目印です。おおがまの最南端に輝く白い星は、しし座の1等星「レグルス」です。

レグルスから空の低い方へ目を移すと、赤く光る2等星「アルファルド」があります。名前の意味は「孤独なもの」。周囲に明るい星がなく、寂しげに見えることからつけられた名前です。

アルファルドからやや西側に、小さな星がいくつか集まっています。よく目を凝らすと、口を開けた蛇の頭に見えます。頭からアルファルド、そして東へと体、尾の星を結ぶと浮かび上がる大きな蛇の姿が「うみへび座」です。88星座中最も大きな星座で、頭が地平線上に見えてから尾の先が出終わるまでに6時間程度かかります。

うみへび座の頭の西側には冬の星座「こいぬ座」が、尾の先の東側には夏の星座「てんびん座」があります。つまり、うみへび座は春の星空の領域を横断するほど長いということです。

うみへび座の体に乗るような形で、春の小さな星座たちがひしめいています。

最も目立つのが「からす座」です。うみへび座の尾のあたりにある、歪んだ小さな四角い星の並びが目印です。四角を形作る星は全て3等星と、決して明るくはありませんが、小さいエリアにまとまっているために見つけやすい星座です。

からす座の東側には「コップ座」と「ろくぶんぎ座」がありますが、いずれも4等星以下の星で構成されており、実際の空で探すのは困難です。

春の空にはもう一つ、小さく目立たないですがおもしろい星座があります。しし座の東側にある「かみのけ座」です。

かみのけ座は細かな星が集まった星団を髪の束に例えた個性的な星座です。星座線は3つの星からなる「く」の字の形とされていますが、全て4等星以下の暗い星ばかりで、形をはっきりとたどるのは難しいでしょう。

ギリシャ神話では、古代エジプトの王妃ベレニケが、夫が出征した際、無事の帰還を願うために神殿に捧げた髪が星座になったものと語られています。

かみのけ座は「宇宙ののぞき窓」という素敵な愛称で呼ばれることがあります。天の川から遠く離れた場所に位置しており、私たちの銀河「天の川銀河」に邪魔されることなく、多くの系外銀河を観測できるためです。

4月の夜空には明るい星が少なく、星座を探すのは難しいかもしれません。しかし、良く目をこらしてみると、小さいながら個性的な魅力を持つ星座がひしめいています。

そして、その星座たちの向こうには、はるか遠い宇宙が広がっています。星の美しさ、宇宙の広さを感じながら、春の星空を楽しんでください。

【▲ 2025年4月中旬 21時頃の東京の星空(Credit: 国立天文台)】

※…星座や天体の見える方角や位置関係は2025年4月15日21時頃のものです

2025年4月22日 4月こと座流星群極大

2025年4月22日は4月こと座流星群の極大日です。最も多く流星が出現するのは午後10時頃で、1時間に5~10個程度の流れ星が見られます。今年は極大時刻が夜間であること、月明かりの影響が少ないことから、条件はなかなか良いといえるでしょう。

4月こと座流星群は、三大流星群(ペルセウス座流星群・ふたご座流星群・しぶんぎ座流星群)と比べると、規模の小さな流星群ですが、時折突発出現することがあります。

【▲ 2025年4月22日22時の東京の北東の星空(Credit: Redshift)】

日本では1945年に1時間当たり90個出現という記録があるほか、近年では1982年に北アメリカにて活発な活動が観測されています。

ここ40年程は残念ながら突発出現の報告はありませんが、「もしかしたらたくさん見られるかも…」と期待しながら観察すると、よりワクワクするかもしれません。

真夏もしくは真冬に見られる三大流星群とは異なり、気候がちょうど良い点も4月こと座流星群の魅力です。

暖かな春の風に吹かれながら、流星群観測をしてみてはいかがでしょうか。

文・編集/sorae編集部

参考文献・出典

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