【村瀬智一が斬る!深層マーケット】AI関連から内需系などへ資金シフト
RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一
今週の日経平均株価は、相場を牽引してきた 半導体・AI(人工知能)関連株への需給調整が続く形となり、前週比1750円安と大幅に下落した。注目されたエヌビディア<NVDA>の決算は、25年8-10月期の売上高・1株利益が市場予想を上回り、先行きの売上高見通しもコンセンサスを上回った。この結果に対して世界の株式市場で初動反応となった20日の東京市場は、日経平均株価が前日比1286円高と急伸し、18日の急落分(1620円安)を吸収するリバウンドをみせた。しかし、20日の米国市場ではエヌビディアが買い一巡後に下落に転じたことで、半導体・AI関連株を中心に売りが広がった。東京市場もこの影響は避けられず、週末21日の日経平均株価の下げ幅は1200円に迫り、一時は4万8500円を割り込む場面もあった。
もっとも、同日の東証プライムの値上がり銘柄数は8割を超えている。信用不安によってリスク回避の姿勢が強まったわけではなく、あくまで過熱感が指摘されていた半導体・AI関連株に対する持ち高圧縮の動きであったといえよう。相対的に出遅れている内需株やバリュー株への資金シフトも目立ってきた。今後、エヌビディアが底入れから反発をみせたとしても、再び主力の半導体・AI関連株に資金が集中する形での上昇は期待しにくく、目先的には内需系や中小型株に資金が向かう展開となりそうである。 ●活躍が期待される「注目5銘柄」◆ワークマン <7564> [東証S]
作業服・関連用品の専門店から出発し、現在ではアウトドア・スポーツ・レインウェア・リカバリーウェアなど、一般消費者をターゲットとした商品を多数展開する。「高機能×低価格」を前面に打ち出した圧倒的なコストパフォーマンスを強みとする。株価は順調に上昇トレンドに乗り、7月8日につけた年初来高値を更新。需給状況の改善による一段高に期待したい。◆千代田化工建設 <6366> [東証S]
エネルギー(LNG:液化天然ガス、石油精製、石油化学、再生可能エネルギー)プラントを建設する総合エンジニアリング会社。海外の1兆円規模の大型LNGプロジェクト依存から脱却し、国内でライフサイエンスなどの案件獲得を強化する。18日には、米国で受注したLNG案件の契約見直しの完了を発表。金銭的な負担はなく、計上した引当金の残り340億円のほぼ全額が戻ってくる見通しという。株価は今週の急伸により、2018年末から続くボトム圏を上離れてきた。短期過熱感は否めないが、見直しの余地は大きいだろう。◆BuySell Technologies <7685> [東証G]
総合リユースサービスをグループで展開。出張訪問買取や店舗買取が好調に推移。運用を開始した新人事制度の効果による粗利単価の向上や、離職率の低減などで採用・教育費の効率化が進んでいる。株価は2024年4月を起点に上昇基調にあり、上向きで推移する12カ月線を支持線としたトレンドを形成している。押し目狙いのスタンスとなろう。◆ジャパンエンジンコーポレーション <6016> [東証S]
船舶用ディーゼル機関の専業。ばら積み船やタンカー、自動車運搬船、コンテナ船など外航大型船の主機関として使われる、低速大型ディーゼルエンジンが柱。政府は月内にも策定する総合経済対策に、官民による造船業への1兆円規模の投資を盛り込むと伝えられており、建造量は2035年に24年比で倍増を目指すという。これを手掛かりに足もとで株価は上昇しているが、長期的には上向きで推移する13週線が支持線として機能しており、同線に接近する局面では押し目を狙いたい。◆VRAIN Solution <135A> [東証G]
製造業向けにAIソリューションを提供。AIやIoT(モノのインターネット)技術を活用し、ソフトウェアだけでなくカメラや照明、X線検査装置などのハードウェアも組み合わせた装置一式を提案し、製造現場の自動化・省人化を支援する。株価は足もとで調整をみせているが、上向きで推移する13週線を上回って推移しており、押し目を狙いたいところである。 (2025年11月21日 記) 株探ニュース