GPIF、25年度以降も資産構成割合維持 国内外株式・債券に各25%

 3月31日、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内外の株式、債券に25%ずつ配分する現在の基本ポートフォリオを2025年度以降も5年間継続すると発表した。写真は2018年11月、都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 31日 ロイター] - 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は31日、国内外の株式、債券に25%ずつ配分する現在の基本ポートフォリオ(資産構成割合)を2025年度からの5年間も維持すると発表した。

厚生労働省は第5期(25─29年度)の運用目標利回りについて、賃金上昇率を1.9%上回る水準をGPIFに指示した。従来から0.2%引き上げた。

GPIFによると、株式と賃金上昇率の連動性が高まる中、株式の比率を増やすほうが効率的に運用目標利回りを達成しやすくなる一方で、債券の期待リターン上昇でより低いリスクで目標を達成できるといった要因を踏まえて検討。目標を満たしつつ、最もリスクの小さなポートフォリオを選定した結果、4期と同様になったという。

宮園雅敬理事長は会見で、「予断や何らかの結論をあらかじめおいて検討したわけではない」とし、不確実性が高まる中、将来を展望することが難しい中で、期待リターンに対してさまざまな推計を行い、運用目標を確保できることを確認したと説明した。

このほか、乖離許容幅は、株式・債券ともに前期よりも小さく設定された。オルタナティブ資産については、独立した資産区分にせず、資産全体の5%を上限とすると決めた。社会・環境的効果を考慮したインパクト投資への取り組みも決め、来年度は投資に向けた調査・研究を行うとした。

24年末時点の運用資産額が約258兆円と、世界最大規模の年金基金であるGPIFは、主に民間の金融機関を通じて公的年金の積立金を投資している。

GPIFの01-23年度の実質的な運用利回りは平均4.24%で、長期的な運用目標を上回った。

この日を最後に任期満了で理事長を退任する宮園氏は、精緻なポートフォリオ運営の高度化の面で「手ごたえを感じている」と5年間を振り返った。市場変動が大きくなる中で「まだやるべきことがあると思っており、終わりのない取り組みが続く」と述べた。GPIFは膨大な投資データをファンド選定やリバランスに活用するため基盤整備を進めている。

新理事長には、三菱UFJ銀行元常務の内田和人氏が4月1日付で就任する。

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