ETC障害の大混乱が象徴する日本の無駄の多さ
中日本高速道路(NEXCO中日本)のETCの障害により大規模な高速道路の交通障害が起きてしまいました。これは日本において無駄な部分にコストをかけすぎていることによる弊害の象徴だと考えています。
ETCレーンが閉鎖されたため生じた大渋滞
高速道路の仕組みについての議論は行政学や財政、産業政策、都市計画の観点から長年行われているわけですが、しかし無駄な事はやめようと言う議論はなかなかありませんね。
私は欧州から来たアフリカ、ロシア中央アジア、南米、北米などを訪問し、実際に住んできたわけですが、実はETCのような一見便利に見えて、複雑かつ、大変なコストがかかる有料道路の課金システムがある国はそれほどありません。
例えばイギリスの場合ですが、基本的に有料道路と言うのはとても少なくほとんどありません。高速道路も県道にあたるような道も通行料は無料です。
ではどうやって費用を徴収しているかと言うと、道路税を年間で徴収してそこから財源に当てています。
各車両には支払いのステッカーを貼り付けて、それを国中に貼りめぐらした監視カメラで検証し違反があれば罰金を払うようにと言う手紙が送られてきます。
欧州の場合は同様の仕組みが少なくありません。国境をまたいで別の国に入る場合は、先にその国の通行用のステッカーを購入して車に貼っておきます。街中に読み取る機械も何もありません。
極めてシンプルで合理的なのに驚かされますが、機械を使ったり、テクノロジーを導入すればするほど設置費用やメンテナンスの手間がかかるので、コストが最小限のアナログにしておくというのは極めて合理的です。
しかも現在は監視カメラの精度が上がっているので、車の監視も兼ねて通行料支払い済みステッカーの確認もすれば一石二鳥です。ちなみにこういう監視カメラは実は日本のメーカーが世界トップです。
アメリカの場合も高速道路は無料です。たまに有料道路があることもありますが、30年以上前でもなんと通行するゲートにかなり単純な作りの自販機のようなものがあり、トレーがでていてそこにちゃりんとコインを投げ込んで終了。
私は学生時代にそれを目撃し、実にシンプルでわかりやすい良い仕組みだなと感じました。
そして日本に戻るとETC導入前は料金所に人がいて、いちいち費用を徴収していました。
ETC導入後はあの読み取る機械とカードがなければ通行ができません。
しかも高速道路の通行料は結構高く、海外の人が日本に来ると驚きます。
日本は現在人手不足であり、少子高齢化でもっと悪化していくわけで、ETCのインフラの維持も運用も大変な費用がかかります。
他の国のシステムを参考にし、ここで一気に合理化してはどうでしょうか?
利権が存在するのであればそれを潰すのが政治の役割です。しかし有権者が指摘して議論を盛り上げなければ何も解決しません。