ウクライナ、ロシアのエネルギー・軍事施設に大規模なドローン攻撃
ウクライナ軍は13日深夜から14日早朝にかけ、ロシア中部や沿ボルガ地域のエネルギー・軍事施設にドローンで大規模な攻撃を仕掛けた。ウクライナ保安庁の当局者が明らかにした。
当局者が匿名を条件に述べたところによると、ドローンはロシアのトゥーラ州とブリャンスク州の2つの化学工場、サラトフ州のエンゲリス空軍基地の弾薬庫などを攻撃。ロシア国営石油大手ロスネフチが同州に保有する製油所では火災が発生した。
米航空宇宙局(NASA)が運営する火災情報マップ「FIRMS」によると、14日朝の時点でサラトフ州の石油施設の外側とエンゲリス近くの工業施設で新たな熱源が観測された。
ロシア国防省は、ウクライナが夜間にブリャンスク州を標的に米国製長距離地対地ミサイル「ATACMS」を6発発射したが、防空システムが全て迎撃したと主張。過去24時間に戦闘地域外でウクライナ軍のドローンを合計146機撃墜したとも発表した。
Kyiv says its drones struck as far as Kazan in the Volga Region
昨年初め以降、ロシア軍の燃料供給を断ち、石油製品輸出によるロシアの収入を遮断する目的で、ウクライナ軍はロシアの製油所をドローンで繰り返し攻撃。過去数カ月には、ロシア軍に兵器や燃料を供給しているとみられる施設を狙い打ちにしている。
再三にわたるこうした攻撃はロシアの製油所の操業を圧迫し、1月初めのロシアの製油量はほぼ2カ月ぶりの低水準だった。
ロシアの地方当局は夜間に工業施設が攻撃を受けたことを認めたが、具体名には触れなかった。
サラトフ州のブサルギン知事は「サラトフとエンゲリスの工業施設が攻撃により損傷した」とソーシャルメディアで説明し、サラトフの施設では攻撃の結果、火災が発生したと続けた。
サラトフの製油所は年間700万トン、日量約14万トン前後の製油能力を持ち、主に国内向けにガソリンやディーゼル燃料を供給している。攻撃や製油所の操業状況に関するコメントの要請に、ロスネフチはすぐには応答しなかった。
また、沿ボルガ地方のタタルスタン共和国の首長、ミニハノフ共和国大統領もドローンの攻撃後にカザンの施設で火災が起きたとソーシャルメディアで報告。同大統領は被災した施設を明らかにしていないが、現地メディアのタタルインフォルムがソーシャルメディアに投稿した被災状況の動画は、ガスプロムの地方子会社が運営する液化ガス貯蔵施設に一致する。
原題:Ukraine Strikes Russian Energy, Military Facilities Overnight(抜粋)