高性能な自社製チップの登場で、アップルは商品の「差別化に苦労」している(Forbes JAPAN)
■M5搭載iPad ProがMacBook Airのエコシステムに打撃を与える ブルームバーグのPower Onニュースレターで、マーク・ガーマンは、夏にリリースが予定されているiPad Proについて、iPadOSのUIをMacに近づける刷新だけでなく、最新のAppleシリコン M5チップセットを搭載すると述べている。新iPad Proは、MacBook Airの魅力を損ねる可能性が高いモデルとなる。 「このリニューアルは、アップルがiPad ProにM4チップを載せてからほぼ1年後にやってくることになる。私が使った範囲では、M4搭載のiPad Proは非常に快適に動作した。またソフトウェアアップデートも、M5チップを搭載した新型iPad Proが登場する時期と重なりそうだ。長らく、iPadのハードウェア性能はソフトウェアを上回りすぎていると言われてきたが、その点がまもなく変わるかもしれない」 これらの動きは、MacBook Airのエコシステムに打撃を与える。ハードウェア面に注目すると、MacBook AirがM4チップ搭載で出荷されたのはつい最近、2025年3月の第1週だ。そこへM5搭載デバイスがアナウンスされれば、Airは「去年のモデル」という印象を多くの人に与えるだろう。 さらに、iPad Pro自体がMacBookのような形態へ近づいていることも問題だ。特に、トラックパッド付きのMagic Keyboardを装着すれば、ノートパソコンに近い使用感が実現できるため、MacBook Airとの住み分けがいっそう難しくなる。 ■MacBook Proを早期に投入する意味 ベースのMacBook ProとMacBook Airは仕様が似通っているが、依然として15%ほどの差は残っている。それでも、アップルが重視するのは「最新モデルを持つこと」がもたらすブランド体験だ。ファッション的要素や、流行から取り残される不安、あるいはアップルストアで旧型が入手しづらくなる不満など、さまざまな感情的な要因が消費者を「Pro」の名を冠したモデルへと引き寄せる。 インテル時代はシンプルだった。数値で「このノートパソコンはあのノートパソコンより速い」と示せば十分だったからだ。今日では、性能の基準が上がったおかげで、訴求点はより感覚的なものとなり「このノートパソコンがあのノートパソコンよりも優れている」というメッセージはより微妙なものになってしまったが、それでもアップセルのためには有効だ。たとえ同じ世代であっても「それは去年モデルだ」というイメージに打ち勝つのは難しい。
Ewan Spence