久保建英「僕が出ればどうのは選手の質に頼った話」パラグアイ戦で見つめたチームの課題

MF久保建英(ソシエダ)

 10月シリーズで初の部分合流に充実した様子を見せていた練習中から一転、取材の話題がベンチで戦況を見つめた前日のパラグアイ戦(△2-2)に移ると、試合を振り返るその表情は晴れなかった。

 日本代表MF久保建英(ソシエダ)が11日の練習後、報道陣の取材に対応。左足首の負傷の影響で出場なしに終わった10日のパラグアイ戦についての感想を問われ、「失点のパターンがちょっと似ていたのと、得点も最後の1点で負けなかったのはすごくポジティブだけど、クロスのところで結局は選手の質に頼ったゴールだった。いい選手がたくさんいるのはあるけど、そこはもうちょっとチームとして何かできたんじゃないかと思う」と課題を口にした。

 前日のパラグアイ戦での2得点は、前半26分に決まったFW小川航基(NECナイメヘン)のミドルシュートと、後半アディショナルタイム4分に決まったMF伊東純也のクロスに反応したFW上田綺世のダイビングヘッド。日頃から練習を繰り返している深い位置まで押し込んでのクロス攻撃や、ビルドアップやカウンターからの崩しではゴールが生まれなかった。

 試合後の取材では、各選手からさまざまな振り返りが行われており、右シャドーで先発したMF堂安律(フランクフルト)は「もっと自由にできる選手が数人いても逆に良いんじゃないかと思った」と攻撃の創造性に課題を見つめ、途中出場のMF鎌田大地(クリスタル・パレス)は「チームの戦術よりも個人個人がデュエルで負けていた」と対人戦の局面に苦戦の要因を見出していた。  そうしたなか、久保はチームとしての攻撃の形に課題を見出した形。もっとも試合から一夜明けたことで、チーム内での意思共有も済ませているようで、「僕が出ればどうというのは選手の質に頼った話になってしまうので、チームとして、日本代表としてどうというのを考えた時、攻撃の部分では思うところはありましたけど、そういうところも選手間、スタッフとも共有できているのでポジティブな内容だったと思う」とも述べた。  北中米W杯まで残り8か月。負傷者の続出によって守備陣を中心に選手が入れ替わりがあり、対戦相手がアジアからW杯出場国に変わったこの時期ゆえの課題だという見方もできるが、久保は一戦一戦と向き合おうとしている。 「サッカーに限らずどの仕事も変更・修正の繰り返しだと思うので、8か月前だからどうこうじゃなく、今日の試合でどこがダメだったかというところを変更・修正、変更・修正を繰り返していくことで、前の試合よりも次の試合が良いように進めるんじゃないかなと個人的には思う。昨日こう思ったとか、こういうところがやっていて気持ち良くなかったとかいう部分があったら、それを話し合って、僕はこう思います、私はこう思いますというふうにやっていくのが大事だと思います」  左足首に痛みを抱えながらも日本代表に合流し、14日のブラジル戦に照準を合わせて「プラン通り」という慎重な調整を続けている久保。出場可否やプレータイムは明日以降の状態次第だと思われる。それでもチームが直面する“変更・修正”のサイクルに関われていることは一つのポジティブ要素。W杯に向けた浮上のきっかけにしていきたいところだ。 (取材・文 竹内達也)●2026ワールドカップ(W杯)北中米大会特集▶日本代表の最新情報はポッドキャストでも配信中

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