“倒産まみれ”で窮地のトランプを「成功者」に変えた黒幕の「驚きの正体」とは?(ダイヤモンド・オンライン)
目下、世界経済を騒がせているトランプ米大統領。再選を目指す2020年の選挙に敗れながらも、その後の4年間を辛抱した末に返り咲く展開は劇的だったが、いま、彼の根本を揺るがす疑惑がささやかれている。そもそも大統領1期目につながる2016年の当選自体が、プーチン・ロシア大統領のヒモ付きだったらしいのだ。※本稿は、春名幹男『世界を変えたスパイたち ソ連崩壊とプーチン報復の真相』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 相次ぐ倒産で取引銀行は2つに減少も 破産法を巧みに駆使したトランプ プーチンはなぜ、トランプに目をつけ、大統領選挙で支持したのか。「不動産王」と呼ばれたトランプとロシアの接点はどこにあったのか。冷戦後の1990年代からトランプが展開してきたビジネスの状況から点検していきたい。 米国民が2016年当時トランプに抱いたイメージは「大成功したビジネスマン」とみられる。だから、彼に思い切った政治を期待する、と考えて投票した米国民が多かったようだ。 しかし、その現実を見ると、意外な事実が浮かび上がる。トランプが倒産させた主要なケースは以下の通りだ。いずれもホテル、ないしはカジノ・ホテルである。 1991年 トランプ・タージ・マハール(ニュージャージー州アトランティックシティ) 1992年 トランプ・プラザ・ホテル&カジノ(同) トランプ・キャッスル・ホテル&カジノ(同) プラザ・ホテル(ニューヨーク) 2004年 トランプ・ホテルズ&カジノ・リゾーツ 2009年 トランプ・エンターテインメンツ・リゾーツ
トランプ自身はこれらの倒産について『ニューズウィーク』誌に「(債務減らしの道具として)破産法をうまく使っている」と発言している。 現実には、1980年代には70行以上の銀行がトランプに約40億ドルを貸し付けていた。しかし1990年代の連続破産で米銀行は手を引き、取引銀行はドイツ銀行とドイツ・バイエルン州の銀行の2行だけになったと言われる。特別検察官は2018年、ドイツ銀行を召喚、捜査している。 ● トランプの窮地を救った ユダヤ系ロシア人の正体は? そんな窮状を救った謎のユダヤ系ロシア人ビジネスマンがいる。米露の情報機関とも関係を維持するこの男がニューヨークのトランプタワー24階に事務所を置いたのをきっかけに、トランプのビジネスは上向き、モスクワにトランプタワーを建設するプランが浮上するなど、トランプとロシアの関係がぐっと近くなるのだ。 この男フェリクス・セイターは8歳の時に、一家でイスラエル経由で米国に移住。ニューヨーク・ブルックリンで育ち、米国籍を得た。父は米国でマフィアの一員になったと言われる。 本人は大学を中退し、ウォール街で証券会社の電話セールスの仕事に就いたが、若いころはならず者で、1991年に酔っ払って喧嘩し、マルガリータが入ったグラスで相手を殴り、禁錮1年の刑に服したことがあった。 その後証券会社を設立、いかがわしい株取引やマフィアとの関係が連邦捜査局(FBI)に探知され、取り調べを受けた。有罪を認め、ウォール街で暗躍する組織犯罪グループに関する情報をFBIに提供するのと引き換えに、禁錮刑を逃れ、2万5000ドルの罰金刑を受けただけで済んだ。 この間、セイターはFBI、さらにCIAのエージェントとして、アフガニスタンに残留していた米国製の肩掛け式スティンガー・ミサイルの回収作業に協力。9・11米中枢同時多発テロの首謀者、ウサマ・ビンラディンの衛星電話の番号も入手したといわれる。後の米司法長官ロレッタ・リンチは議会証言で「セイターの情報は国家安全保障にとって重要で、非常に役に立った」と証言している。