中国、米国防長官の発言に反発-台湾巡り「火遊び」すべきでない

中国外務省は、アジア安全保障会議「シャングリラ対話」でのヘグセス米国防長官による台湾などに関する発言に対し、「強い不満」を表明した。

  ヘグセス長官は5月31日、シンガポールで開催中の同会議での演説で、中国による台湾侵攻の可能性に備えるため、より強い危機感を持つ必要があると訴え、アジアの同盟国に防衛費を国内総生産(GDP)の5%に向け引き上げるよう求めた。中国が同会議への国防相派遣を見送ったことにも触れた。

  中国の国防相が同会議への参加を見送ったのは2019年以来。各国の防衛担当高官と対話する外交の場を自ら放棄し、地域安全保障に関する中国のビジョンを発信する機会を逃した。

  中国外務省は6月1日の声明で、「米国こそが世界における真の覇権国家であり、アジア太平洋地域の平和と安定を破壊する最大の要因だ」と反論。米国は台湾問題を利用して「火遊びをするべきではない」と付け加えた。

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  例年とは異なり、今年の同会議の最終日である1日のプログラムは、中国に照準を定めたセッションから始まらなかった。このセッションでは、中国高官が前日の米国やその同盟国から出された主張に反論するのが通例だった。今年の会議に出席した中国代表の胡鋼鋒氏は、董軍国防相の不在についての質問をかわした。

  中国国防大学の副校長である胡氏は5月31日のパネルディスカッションで、「われわれは毎回、異なるレベルの代表団を派遣しており、これは完全に通常の業務上の配置だ」と述べ、「われわれの国防政策や理念の説明、他国との意思疎通や相互信頼の強化に支障はない」と強調した。

  駐ニュージーランドの中国大使、王小龍氏は1日、X(旧ツイッター)への投稿でヘグセス氏の台湾に関する発言を強く批判。「これが軍事的威嚇や恐怖の扇動ではないとすれば、他に何がそれに該当するのか」とし、「根拠のない自己中心的で妄想的なレトリックを、この地域の多くが受け入れると考えるのは想像力の飛躍だ」と付け加えた。

  会議の開幕以降、在シンガポールの中国大使館はフェイスブックに2回投稿している。フランスのマクロン大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻への国際社会の対応が台湾有事への対応を示唆しているはずだと発言したことについて、「受け入れ難い」比較だと反論。ヘグセス長官が演説で中国を差し迫った脅威と位置付けたことも非難した。

  同大使館がシャングリラ対話を公然と批判するのは異例。通常は中国代表団との調整を舞台裏で行う。

原題:China Blasts Hegseth as Defense Minister Avoids Singapore Forum(抜粋)

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