Steam新作2Dローグライクアクション『Ovis Loop』が面白い。永続強化と改造スキルにより軍勢を殲滅、2D『HADES』っぽさあり

LIFUELは8月15より、『Ovis Loop』の早期アクセスを配信した。対応プラットフォームはPC(Steam)。

『Ovis Loop』は、美麗なピクセルアートによる2D横スクロール型のローグライトアクションゲームだ。舞台となるのは羊がオオカミから迫害を受けている荒廃したポストアポカリプスの世界。プレイヤーはサイボーグ羊のオメガとなり、オオカミ博士が率いるオオカミの軍勢に立ち向かうこととなる。そして、オオカミとの戦いの中で、この世界や主人公に隠された真実も明かされていく。

横スクロールのアクションと言えばメトロイドヴァニアをイメージするかもしれないが、そうではないことは最初に伝えておきたい。本作をやや乱暴に例えるならば、見下ろし視点のローグライトアクションの傑作『HADES』の横スクロール版……、複数のランダムエリアを選択して進行していく形式だ。加えて本作は、スキル自体のカスタマイズや永続強化、そして断片的なストーリーテリングにより「あと一回」が止まらない作品となっていた。詳しく紹介していこう。

※本稿はメーカーより提供いただいたSteam版に基づき執筆。ボタン表記はPS5コントローラーに準じたものとする。

ゲームプレイでは報酬が提示された網目状のマップからエリアを選択していくという、昨今のローグライト作品でおなじみの形式で進行していく。開始直後の最初のエリアだけはチュートリアルエリアとなっているため、基本アクションである通常攻撃コンボ、攻撃中もキャンセル可能な回避、2段ジャンプや壁ジャンプを駆使して敵を倒しながら先へ進もう。本作に登場する敵は全てオオカミがモチーフとなっており、いわゆる雑魚敵は通常攻撃により怯むため連打するだけで倒すことができる。そして比較的狭いエリアの奥には必ずエリートと呼ばれる敵が出現し、エリートは通常攻撃で怯まないため攻撃モーションを見極めて回避することが重要となる。なお、本作では敵の体に攻撃判定はないため、攻撃モーションや遠距離攻撃に注意して攻撃するのだ。

エリートを倒すとワープポータルが出現し、ワープした先で3択スキルなどの報酬を入手する。ここまでが戦闘エリアの基本の流れとなり、エリアをクリアすると次のエリアを選択していく。エリア報酬としてスキル、武器強化、モジュール、お金、ショップ、焚火、ランダムイベントなどが用意されており、自身のリソースと欲しい報酬を天秤にかけながら行先を決めるわけだ。武器強化とモジュールはいずれもパッシブ強化となっており、特にモジュールは一つ一つが強力ながら所持数に制限がないため、先へ進むほどに見違えるほど強くなっていく。

ショップと焚火を除いて基本的に戦闘エリアとなる 戦闘エリアに必ず登場するエリートは怯みにくい

そして本作の最大の特徴であるスキルについて紹介しよう。スキルは突進技や遠距離攻撃、自立行動するドローン召喚や火傷といった追加効果を付与するものなどいずれも強力。それぞれのスキルには消費エネルギーとクールタイムが設定されており、最大4つのスキルをL1/L2/R1/R2ボタンにセットできる。クールタイムが終わるまでに回復するほどにエネルギーの回復速度は早いので、消費エネルギーを増やす代わりに強化するようなビルドにしない限りはエネルギーを気にせずスキルを発動できるだろう。

さらに3択のスキル選択において同じスキルが出てきた場合は、スキルを改造することも可能。一つのスキルにつき最大3つのパッシブを付与できるほか、最大2つのコンボスキルをセットできる。このコンボスキルはクールダウン中に使える専用スキルとなっているため、一つのスキルボタンを連打することで最大3回のスキルによるオリジナルコンボを発動できるわけだ。加えて3つのパッシブ効果はコンボスキルにも反映される。たとえば、遠距離、引き寄せ、溜め技というコンボスキルを構築して、さらに特殊効果を付与するようなスキルビルドも可能となる。報酬はランダムなので毎回異なるスキルビルドを試行錯誤するのが楽しいのだ。

スキル、武器強化、モジュールはランダムな3択から選択する スキル改造により習得するコンボスキルにもスキル強化は影響する

とはいえ、上記のようなスキルビルドを構築するには死ぬことなく先へと進む必要がある。本作では、被弾後の一定時間内に攻撃すると被弾分のHPが回復するリゲインというシステムがあるものの、1度に10匹以上の大量の敵が登場するためすべてを避けきるのは至難の業だ。減ってしまったHPを回復する手段は乏しくショップや焚火エリアで回復するのが基本となる。また、パッシブ強化やランダムイベントで最大HPが減ることも多い。筆者は最初の挑戦でマップの最奥にいるボスへとたどり着いたものの、そこであえなく力尽きてしまった。

力尽きるとそれまでに入手したスキルやパッシブ、お金をすべて失い、スタート地点へと戻される。しかし、チュートリアル後のスタート地点は拠点となっており、道中で入手した赤いクリスタルを使って永続強化することが可能だ。火力アップや被ダメ減少などのパッシブ強化のほか、最初は2つしかないスキルスロットをアンロックすることで最大4つのスキルがセットできるようになる。アクション自体も拡張されていくわけだ。

同様に、初期武器を含めて4つの武器種とそれぞれに派生形態が用意されており、それらもアンロック可能。さらに、パッシブとなるモジュールを一つ持ち込むことができ、戦闘エリアクリア後に少量のHPが回復するモジュールをデフォルトで所有している。もちろんこれらの要素を一気にアンロックできるほどのリソースはないのだが、一つの永続強化やアンロックだけで次は勝てるかもと思わせるような強化が用意されているのだ。

初期武器の派生では火傷を付与する

実際、筆者はHP回復のモジュールを持ち込んだことで、ミニボスを倒して複数のモジュールを入手したり、焚火エリアで最大HPを増やしたりなど、1回目よりも安定して進行し、最奥にいるボスも撃破することができた。ちなみに、このボスのモーションはしっかり観察すれば分かりやすいので初見で倒せる方もいるだろう。ボスを倒せば1ステージ目はクリアとなるが、そこで終わりではなく2ステージ目へと移行する。2ステージ目の最初には村があり、モジュールの交換やスキル改造スロットのアンロックといったことが可能だ。

2ステージ目でも同様に網目状のマップからエリアを選択していく。しかし、1ステージ目よりも敵の攻撃が激しく、通常の戦闘エリアですらガンガンとHPが削られ、ボスにすら辿り着けずに力尽きてしまった。それでもめげることはない。なぜなら先へ進むほどに赤いクリスタルも大量に入手しているので、また新たな永続強化やアンロックができるのだ。安定して2ステージ目まで行けるようになると、スキル改造も試行錯誤できるため、永続強化と新たなビルドの構築に夢中になって「あと一回」と挑み続けてしまった。

終盤にはモジュールを20個くらい所持することもあり各種ステータスも大きく上昇する

そうして、10回目のチャレンジでようやく2ステージ目のボスを撃破することができた。3ステージ目に到達するころには4つのスキルそれぞれにコンボスキルをセットできる程度に強化が進むので、序盤とはまったく違う戦い方が可能となる。被弾後のリゲイン回復システムもあるため、敵の集団に飛び込み、常にスキルを連発するようなド派手なアクションとなるのだ。そのままの勢いで3ステージ目のボスに到達することはできたが、これまでとは比にならない凶悪な攻撃を仕掛けてくる。早期アクセスでは3ステージ目までとなっているが、クリアするには戦略的なビルド構築とハイスピードで正確な操作スキルが必要となるだろう。

本作では謎に包まれたストーリーも魅力だ。なぜ世界は荒廃しているのか、なぜオオカミが支配しているのか、そもそも主人公のサイボーグ羊は何者なのか。これらの謎は戦闘エリアに配置されるNPCやオブジェクトへのアクセス、ランダムイベントなどにより断片的に明かされていく。同時にデータを入手する。

入手したデータはスタート地点の拠点にて整理されて閲覧できるようになる。挑むたびに新たなデータを入手することで、この世界の全貌が少しずつ明らかになっていくため、ストーリーの面でも「あと一回」とプレイしたくなる構成となっているのだ。ちなみに、データ自体も永続強化のリソースとして使用可能だ。

筆者自身、最初こそメトロイドヴァニア風のアクションをイメージしてしまったが、本作は「もう一回」と遊びたくなる要素が満遍なく散りばめられたローグライトアクションゲームだ。大量の敵に囲まれる歯応えのあるアクション、断片的なストーリーテリング、その完成度はさながら横スク『HADES』と言えるような体験であった。それに加えて独自のスキル改造により、後半は複数のスキルを連発するようなド派手な戦い方も可能となる。永続強化やモジュールによるパッシブ強化は『HADES』よりも強力な印象であったため、ローグライトアクションに興味のある方は是非プレイしてほしい。

『Ovis Loop』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。8月22日まで20%オフとなる1520円で購入できるリリース記念セールも実施中だ。

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