中国、李首相が外交の窓口に-外遊減った習主席はG20参加見送り

中国の李強首相が習近平国家主席に代わり、外交で最も重要な役割を担いつつある。3年前に中国のナンバー2に就きながらも、歴代首相ほどの威光がないとされてきた李氏にとっては意外な展開だ。

  李氏は今週末、アフリカで初めて開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の開催地ヨハネスブルクを訪れる。習氏に代わり中国を代表して国際会議に出席する3度目の機会となる。

  李氏がこうした役割を初めて担ったのは2年前、インドで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議だ。今年夏にはブラジルを訪問し、主要新興国から成るBRICSの首脳会議に参加した。

  李氏の国際的な存在感の高まりが、中国政治の中で際立っている。

  中国の首相はこれまでも国内経済の運営において大きな裁量を与えられ、外国要人との国内での印象的な交流も多かったが、G20などの首脳会議で国家主席の代理を務めた例はなかった。

  特に中国共産党の総書記でもある習氏は2022年10月の党大会を経て、異例の3期目入りを果たし、毛沢東初代国家主席以来最も強力な権限を握った。3期目の習指導部で党序列2位に起用された李氏は、習氏との力量の差が大きいと見られていた。

  変化は、習氏(72)の外遊が減る中で起きている。習氏の外遊は今年、ロシア訪問を除けばアジア域内にとどまっており、新型コロナ流行期以外では最も行動範囲が限られた年となっている。

  李氏の対外活動の広がりは、習氏が閣僚や軍上層部の大規模な粛清を進める一方で、忠誠を誓う側近への依存がむしろ強まっていることを示している。

  ただ、習氏が後継者を育てている兆しは見られない。27年の次回党大会では、習氏の4期目続投が確実視されている。

  アジア・ソサエティー政策研究所の中国分析センターで中国政治を専門に研究しているニール・トーマス氏は、「中国が大きな影響力を持つか、あるいは地理的に近い首脳会議を習氏は優先している」と指摘し、「権力掌握がより安定し、年齢を重ねるにつれて、習氏は権限委譲にいっそう前向きになっているようだ」との見方を示した。

  トーマス氏によれば、「李氏が実質的に習氏の主要な外交窓口」になっているという。

原題:Xi Is Making China’s Premier His Top Messenger on World Stage (抜粋)

— 取材協力 John Liu, Jing Li, Colum Murphy, Reto Gregori and Sudhi Ranjan Sen

関連記事: