底値見えぬテスラ株、マスク氏のファンも逃げ腰-200ドル割れ予想も
実業家イーロン・マスク氏のファンたちは、電気自動車(EV)メーカーの米テスラへの献身で知られるが、同社の株価が急落している現状では長年の信奉者でさえも逃げ腰になっている。
テスラ株は今年、S&P500種株価指数構成銘柄で下落率最大となっており退潮が極端に目立つ中、トランプ米大統領は10日夜、新品のテスラ車1台を購入すると述べてマスク氏への支持を表明した。
11日にトランプ氏は、ホワイトハウスに届けられたテスラ車の中から赤い「モデルS」を選んだ。前日に15%急落していた株価はこの日に3.8%上昇した。しかし、大統領によるテスラ車購入や、同社株を押し目買いする明らかな好機にもかかわらず、マスク氏の信奉者は大惨事がまだ終わっていないかもしれないと恐れ、テスラ株を安値で拾うことには臆病になっている。
同社の株価は現在、昨年12月中旬に記録した最高値から52%下落した水準にあり、大統領選挙後の上昇分をすべて失っている。
ザックス・インベストメント・マネジメントの顧客ポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は、テスラ株が「感情に左右されており、下落圧力が優勢だ。今後30-60日でさらに下げる余地がある」と述べ、「短期的には200ドル、あるいはそれ未満に簡単に下落する可能性がある」と付け加えた。
ザックスは昨年末時点でテスラ株を27万株余り保有しており、マルベリー氏は来年には株価が400ドルを上回る可能性もあると述べたが、当面は様子見姿勢を崩していない。
2カ月前には400ドルを超えていた株価が今週、230ドルを割り込んだことから、ウォール街のアナリストらはテスラ株購入を推奨していた向きも含め、より慎重な姿勢を見せている。この1週間に少なくとも4人のアナリストがテスラの目標株価を引き下げた。長年強気だったアナリスト2人も販売不振と「ネガティブな」感情について警告を発した。
投資家が直面している問題は、センチメントを改善するようなイベントが近い将来に予定されていないことだ。
テスラの「フルセルフドライビング(FSD)」やロボタクシー(無人タクシー)に関する最新情報はすぐには期待できない。また、マスク氏が「政府効率化省(DOGE)」に気を取られ過ぎてテスラの経営に集中できていないという懸念も生じている。
50パーク・インベストメンツの創業者、アダム・サーハン氏は「テスラは今やトランプ・トレードの代名詞であり、市場がトランプ氏とマスク氏の取り組みに報いるつもりがない限り、株価は下げ続けるだろう」と予想。「この株には今のところ底値が見えない」と述べた。
原題:Even Musk Fans Dash for the Sidelines With Tesla in Freefall(抜粋)