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4月23日、宇都宮ブレックスはホームでアルバルク東京と対戦。序盤からロースコアの重たい展開となったが、第3クォーターに比江島慎を中心にオフェンスが爆発した宇都宮が61-55で逆転勝利を収めた。
序盤はお互いにオープンシュートを決め切れない、オフェンスの遂行力に欠ける展開。特に宇都宮はシュートがまったく入らず、前半を18-26のロースコアで終える。
しかし、後半の立ち上がり、宇都宮はD.J・ニュービル、比江島の連続3ポイントシュートで重苦しい雰囲気を一気に払拭。その後も勢いに乗り、第3クォーターで29-15とビッククォーターを作り出して一気に試合をひっくり返した。
その後、A東京も盛り返し、第4クォーター終盤まで僅差の展開が続くが、宇都宮はここ一番で守備のギアを上げて試合残り3分を無失点に抑え、激闘を制した。
宇都宮の勝因はなんといってもディフェンスだ。すべてのクォーターを15失点以下に抑えるなど40分間を通して集中力を切らさず、計19ターンオーバーを誘発した。オフェンス面の主役はエースの比江島。前半はフィールドゴール5本すべて失敗の無得点だったが、後半だけで15得点を記録。第3クォーター頭の3ポイントシュートで試合の流れを変え、第4クォーターにも勝負どころでしっかりと得点する千両役者ぶりを発揮した。
最終的に比江島は15得点に加え7リバウンド5アシストと攻守で活躍。「相手がフィジカルに来るとわかってはいましたが、苦しんでしまいました。自分たちもディフェンスで激しくいって我慢を続けたことが勝ちに結びつきました」と勝因を語る。
自身のオフェンスに関しては、前半の無得点も感触は悪くなかったと振り返る。「いつも通り、開いたら打とうというメンタリティでいたと思います。相手の高さやフィジカルに少し感覚がずれた部分があったかもしれないですが、そこまで悪いイメージはなかったです。打ち続けることは心がけていました」
「チャンピオンシップに向けて収穫のある勝利だった」
この試合で宇都宮は、チャンピオンシップで対戦する可能性があるA東京との前哨戦を制した格好となった。比江島は勝利に加えて「オフェンスが良くないことが影響して、ディフェンスが崩れてしまうことで天皇杯は負けてしました。この課題をしっかり改善できました」と試合の内容にも満足している。
比江島が言及したのは、群馬クレインサンダーズに46-66と完敗した天皇杯3次ラウンドのことだ。この試合、宇都宮は今回と同じく前半をロースコアで終えると、オフェンスがうまくいかない苛立ちから守備で我慢し切れずに後半で一気に失速した。
しかし今回のA東京戦は同じ轍を踏まなかった。比江島は手応えを語る。
「前半は明らかにフィジカルで負けていました。そこにフラストレーションを溜めず、自分たちから仕掛けにいった結果として3クォーターに良い形でシュートを打てました。今日のようにシュートが入らない時はチャンピオンシップでも来ると思うので、そこに対してしっかりと解決策を見つけられた、収穫のある勝利だったと思います」
現在、宇都宮はリーグ全体1位に立っている。第1シードでチャンピオンシップに突入するも、ファーストラウンドで痛恨の敗退を喫した昨シーズンを踏まえ、『レギュラーシーズン1位からのリーグ優勝』という道のりを意識していてもおかしくない。
しかし、比江島は「去年のリベンジをするのであれば全体1位は全然アリだとは思いますが、今はそこはまったく考えていないです」と話す。「ホームでCS(チャンピオンシップ)をやることは目標です。ただ、目の前の試合を全力で勝ちにいくことをみんなで意識しています」
比江島、ニュービルの2大エースを軸にグラント・ジェレットが台頭した宇都宮は、リーグ随一のハイパワーオフェンスを誇る。それでもシュートは水モノで、一発勝負や短期決戦で入らない状況も起こる。ただ、今の宇都宮は、オフェンスが不発でもしっかりと我慢できる力を備えている。
比江島が「こういう試合展開でも勝てたことはCSに向けて自信になる。ポシティブにとらえていいと思います」と締めくくったように、1つ大きな壁を乗り越えた勝利となった。