赤肉・加工肉に「がんリスク」、現役医師が教える「日本人が本当に気を付けるべき点」は?

 

赤肉(牛・豚・羊肉などの肉のこと)やハム・ベーコンなどの加工肉は日常的に食卓にのぼることも多い、なじみ深い食材です。しかし、近年これらの食材が、がんのリスクと関連しているという情報を耳にすることも増えています。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で糖尿病専門医の江部康二先生は、国立がん研究センターの見解を解説するとともに、糖質制限を実践する方にとっての赤肉や加工肉の位置づけについて解説しています。

赤肉・加工肉のがんリスク

国立がん研究センターのサイトに、赤肉・加工肉のがんリスクについて記載してあります。

検討してみましょう。

赤肉(Red meat )は、牛・豚・羊肉などの肉のことで、脂肪分が少ない部位を示す「赤身肉」とは異なります。

シンプルに言えば、四つ足動物の肉が赤肉(Red meat)で、馬肉や山羊肉も含まれます。

国際がん研究機関(IARC)の加工肉等の発がん性についての発表(2015年10月26日)によれば、加工肉について「人に対して発がん性がある(Group1)」と、主に大腸がんに対する疫学研究の十分な証拠に基づいて判定されました。

赤肉については疫学研究からの証拠は限定的ながら、メカニズムを裏付ける相応の証拠があることから、「おそらく人に対して発がん性がある(Group2A)」と判定しています。

これに対して、日本の国立がん研究センンターの見解は、大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉が大腸がんリスクに与える影響は無いか、あっても、小さいとしています。

2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は一日あたり63グラム(うち、赤肉は50グラム、加工肉は13グラム)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の一つです。

ということで、ここまでは、普通の日本人の場合は、こと赤肉・加工肉の摂取量に関しては、気にしなくても良いということとなります。

一方、我々糖質セイゲニスト(編集部註:糖質制限実践者)はどうなのでしょう。

糖質制限食の場合、糖質を減らす分、相対的に赤肉・加工肉の摂取量も増えます。

私の場合は、魚貝類と肉類が、1:1くらいの割合です。

加工肉のハムやベーコンも時々食べます。

IARCは、赤肉は調理後の重量で週500グラム以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告しています。調理後は20%程度重量が減少するので、調理前なら625gです。

これなら、ほぼクリアしていると思います。

魚貝類や鶏肉も普通に食べているので、欧米の赤肉中心の食事の方々に比べたらハードルは低いと言えます。

さらに、糖質制限食実践者なら、<食後高血糖><食後高インスリン血症><平均血糖変動幅増大>という三大酸化ストレスと活性酸素の産生が最小限ですむので、発がんリスクも最小限となります。

● 情報提供:赤肉・加工肉のがんリスクについて(国立研究開発法人国立がん研究センター)

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江部康二糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ

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