【コラム】新宿アルタ前で待ち合わせるのが憧れだった
お昼休みはうきうきウォッチン♪ 『笑っていいとも!』が始まった1982年は私(中澤)が生まれた年。ゆえに、私はいいともと共に成長してきたわけだが、実は、このオープニングテーマについて1つずっと矛盾を感じていた。謎と言い換えても良いかもしれない。それは何かと言うと……
・お昼休みに見れない
小学校、中学校、高校と教室にテレビがあったことはない。バイトでも、上京後点々とした仕事でも休憩室にテレビがあるパターンはレアで、あったとしても勝手に点けたりはできなかった。スマホもTVerもない時代。どうやってお昼休みに見るねん!
ゆえに、私がうきうきウォッチンしてたのはもっぱら日曜日の増刊号。しかし、それで十分だった。大阪でも市内から遠く、大阪人でもあまり知らないような田舎で育った私にとって、当時のテレビの中の世界は眩しくて楽しかった。
・アルタ閉店
そんな『笑っていいとも!』が終わって11年。今度は収録していた新宿アルタが2025年2月28日をもって閉店するという。なんとも時代の移り変わりを感じずにはいられないニュースだ。そこで新宿アルタに行ってみることにした。
『笑っていいとも!』のオープニングで流れていたアルタ前の景色。上京当時、新宿に来る時は無駄にアルタ前で待ち合わせしたものだ。待ち合わせという目的以上に、「じゃあ、アルタ前待ち合わせで!」という言葉を自分が発していることにウキウキした。ただ、ここでふと気づいたことがある。
・入ったことがない
新宿アルタに入ったことがないのだ。マジかよ、館内がどんな場所なのか全く分からない。そこで入ってみたところ、入っているテナントはアパレルショップが多い。新宿アルタってファッションビルだったんだ……!
内装は昔のデパートみたいな重々しさが感じられ時代の雰囲気が漂っている。しかし、並んでいる服は原宿っぽい病みカワと新宿っぽいお水系で、ちゃんと今っぽい。ゆえに空間としてはごった煮感が感じられるところにサブカルみがある。新宿アルタの空気を吸ってる感じがした。
そんな館内には新宿アルタ終了に伴って、タモリさんなど所縁のある人のコメント付きのパネルが飾られていた。このパネルの内容は新宿アルタ閉店の特設サイトで確認することができるが、アルタ館内に飾られているのを見るのは場所への愛着の温度感が感じられて良い。記念館みたいだ。
最上階7階のスタジオに行ってみると、地下アイドルのライブイベントが開催されていた。今はライブハウスみたいな感じになっている様子。中も『笑っていいとも!』的な面影はなく、普通にライブハウスであった。
・コラボグッズを買ってみた
最後に、出入口の路面店「まちかど画廊」でアルタコラボグッズであるマグカップ(税込1540円)を買ってみた。店員さんに聞いてみたところ、アルタコラボグッズは閉店の2月28日までの限定販売とのこと。
トートバッグなどもあってスタジオアルタを含むアルタ前の景色が描かれているので、思い出を形として残すにはちょうどいいかもしれない。
・アルタの閉店に思うこと
それにしても、実際に入ってみてスタジオアルタが三越伊勢丹グループだったことも初めて知った。建物以上に場所として象徴的だったからこそ驚きの連続。ランドマークってそういうものなのかもしれないなあ。
一方で、今は隠れスポットの方が話題になりやすい。マスの時代の象徴であるからこそ、その閉店は今がニッチの時代であることも象徴している。
その先には何があるのか? これは未来への期待。閉館に、終わる寂しさだけでなく始まりまでも感じるなんて……。改めて入ってみてしみじみ思ったのであった。「節目だなあ」と。
参考リンク:新宿アルタ閉店特設サイト 執筆:中澤星児 Photo:Rocketnews24.
▼アルタ含む新宿東口の景色が残されている
▼アルタコラボグッズはこんな感じ
▼個人的には「まちかど画廊」と言えば、ワンカップ大関Tなんだけど、このグッズは今後も受注があれば販売する予定とのことでした
▼この駅前の景色も大きく変わりそう