“ほぼ鉄”の灼熱惑星 31光年先の系外惑星「GJ 367b」

【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)

こちらは、約31光年先に位置する太陽系外惑星「GJ 367b(グリーゼ367b)」の想像図です。赤く輝く小さな恒星のすぐそばを、真っ赤に焼けた惑星が、ほとんど張り付くような軌道で回っている様子が描かれています。

【▲ 太陽系外惑星「GJ 367b」(左)の想像図(Credit: DLR/SPP1992 (Patricia Klein))】

GJ 367bは、NASAの系外惑星探査衛星「TESS(テス)」の観測データをもとに、2021年に発見されました。その後の追加観測から、半径は地球の約0.7倍、質量は約0.5〜0.6倍、平均密度はおよそ10g/cm³という値が導かれました。これは地球の約2倍という極端な密度で、質量と半径にもとづく内部構造モデルから、内部の大部分(およそ8〜9割)が鉄の核でできていると考えられています。

【▲ 系外惑星探査衛星「TESS」のイメージ画像(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center)】

公転周期はわずか約7.7時間。恒星からの光と熱がきわめて強いため、昼側の表面温度は摂氏約1100〜1400度に達すると見積もられており、表面がマグマの海のようにどろどろに溶けていても不思議ではありません。

2024年には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測で、GJ 367bの昼側は非常に明るい一方、夜側からの放射はほとんど検出されないことがわかりました。惑星表面で熱があまり運ばれていないことを示す結果で、厚い大気に覆われているとは考えにくく「暗くて熱い岩石惑星」である姿が浮かび上がっています。

さらに同年には、X線観測衛星「Spektr-RG」に搭載されたX線望遠鏡「eROSITA」が、主星GJ 367からの強いX線放射を初めてとらえました。誕生当初に大気が存在していたとしても、こうした高エネルギー環境のもとで長い時間にわたって浴び続ければ、宇宙空間へ徐々に削り取られていったとみられます。ウェッブとeROSITAの結果をあわせると、現在のGJ 367bは大気をほとんど失った状態にあると考えられます。

発見当初、「ほぼ鉄でできた惑星?」として話題になったGJ 367bですが、その後の追加観測によって、内部の大部分が鉄の核で構成され、大気もほぼ失ってしまった極端な「スーパーマーキュリー」候補という姿がよりはっきりしてきました。

編集/sorae編集部

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