楽天モバイルがEBITDA黒字化を達成、三木谷氏「1000万回線達成へ」(ケータイ Watch)

 楽天グループは、2025年度第3四半期決算を発表した。売上高は1兆7876億3500万円、営業利益は13億4600万円となったが、最終的には1512億9400万円の赤字となった。 【この記事に関する別の画像を見る】 ■ 楽天モバイルの利益は改善  モバイルの売上高は、1187億円。利益は386億円(Non-GAAP)の損失だったが前年同期比で101億円改善しており、売上で見ても前年同期比12%増だった。利益に減価償却費を加算したEBITDAは112億円だった。  楽天モバイル単体での売上高は952億円。MNOでの売上は539億円。回線契約数や正味ARPUの上昇が寄与した。利益は372億円の損失だったが、前年同期比で134億円改善。EBITDAは78億円の黒字を果たした。  9月末時点での契約回線数は933万回線で、単純解約率は1.68%。同月内などの解約を除くと1.33%だった。ARPUは2873円で、正味ARPUは2471円だった。ARPUは個人ユーザーのデータ利用増が好結果につながった。今期の日次平均データ利用量は1.09GBで、前期の1.00GBから上昇している。楽天グループの経済圏の利用は、ライトユーザーの新規契約増による希薄化で、横ばい成長だったものの、契約から1年以上が経過したユーザーに限れば増加しており、成長が期待できるとした。  楽天モバイル会長の三木谷浩史氏は、楽天モバイル単体の損益については「当初から比べると、より全国のネットワークを自社で整備するなど含めて、多少ビジネスプランが変わった。一方で、グループとのシナジーは想定よりも大きい」と話す。また「現在もEBITDAは80億円。マーケティング予算がなければ四半期で240億円くらいのEBITDAになる。(楽天モバイルの黒字化は)いつとは発表できないが、今の巡航速度で顧客獲得を進めたい」と、顧客獲得施策の負担が財務に影響していることと、当面は方針に変更がない旨を説明した。 ■ MNP増、NW整備も継続  第3四半期単体でのMNO回線純増数は40万5000回線。楽天カードとのコラボレーション施策などが好調で増加につながった。解約数は同月内の解約増加を除けば減少傾向が続いているという。  MNP純増数についても増加傾向が続いており、第3四半期は前年同期比71.4%増の9万5000回線がMNPによる契約だった。MNPで転入するユーザーはメイン回線としての利用であるケースが多く、解約率維持に期待がかかる。  9月末時点で、新たに4611局の基地局を設置した。年内の計画通りに進行しているが、一部は来期にずれ込む見込みという。引き続き、ネットワーク整備を進めて、つながりにくい場所での改善を図る。あわせて、AIで基地局設備を制御する「RIC」の導入も進める。  三木谷氏は「続く第4四半期に向けてB2C獲得ペースを加速させるとともにB2B契約のパイプラインを早期に実績にすることで年内の1000万回線達成に向けて取り組む」と話した。 ■ 楽天シンフォニーは新たに契約獲得  法人事業では、契約社数2万3000社を突破した。各業界に向けたDXソリューションとネットワークをパッケージで提案して好評を得た。今後は、パッケージ販売に限定せずに回線契約の実績化を進めるとした。  楽天シンフォニーは、売上高200億1000万円。北米のほかアフリカ、アジアで新たに6社の新規契約および6社の販売パートナーを獲得した。インドではポリスタックテクノロジーズとともに公共部門や民間向けに、同国のクラウドソリューションを提供する戦略的提携を結んだ。 ■ グループ全体でAI推進  インターネットサービスでは3496億円を売り上げ、利益は242億円だった。国内ECはふるさと納税のポイント付与ルールの改定を受けた駆け込み需要から、楽天市場を中心に大きく成長した。トラベル事業や「Rakuten Kobo」などを含むインターナショナル部門、フィンテック部門も好調だった。  各サービスでAIを導入。日本HPとともに同社製パソコンに「Rakuten AI」導入に向けた協議も開始した。2026年春以降を目処に個人・法人向け製品で順次製品が展開される見込み。

ケータイ Watch,北川 研斗

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