NY市場サマリー(13日)米国株急落、ドル下落、利回り上昇

<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが円やユーロなどの主要通貨に対し下落した。米政府機関の再開を受け、今後発表が再開される一連の経済指標で米連邦準備理事会(FRB)の政策運営がどのような影響を受けるか見極めようと、積極的な取引が手控えられている。

終盤の取引でドル/円は0.22%安の154.43円。前日のニューヨーク時間の取引でドルは一時155.04円まで上昇し、2月4日以来9カ月ぶりの高値を付けていた

円安が続けば日銀に対する利上げ圧力が高まるが、日銀が12月の次回金融政策決定会合で政策金利を0.25%ポイント引き上げる確率は24%にとどまっている。

米国では12日夜、トランプ大統領が連邦政府機関の一部閉鎖を終わらせるための暫定財源を確保する「つなぎ予算案」に署名し、43日間と過去最長になった政府機関の閉鎖が終了。ただ、マネックスUSA(ワシントン)のトレーディング担当ディレクター、フアン・ペレス氏は「政府機関の閉鎖は解消したものの、どの程度早く通常状態に戻り、どの程度早く経済指標が発表されるかは分からない」とし「9月と10月の政府の信頼できる経済指標に基づき正確な経済分析がいつできるようになるかは分からない」と述べた。

今後発表される経済指標でFRBの政策運営が影響を受ける可能性があるものの、現時点で金融政策の先行きは不透明。この日はFRB当局者の間から慎重姿勢を示す発言が相次ぎ、FRBが次回12月の会合で追加利下げを決定する確率は現在は50%を下回っている。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。米連邦準備理事会(FRB)当局者の間で経済や金融政策の見通しに見解の相違が見られる中、市場ではインフレを巡る不確実性を背景に、12月に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が後退している。

トランプ大統領が12日、連邦政府機関の一部閉鎖を終わらせるための暫定財源を確保する「つなぎ予算案」に署名したことから、市場心理の重しとなっていた不確実性は幾分和らいだ。

また、この日実施された米30年債入札が低調な結果となったことも債券市場全体の売りを加速させた。

午後の取引で、10年債利回りは3.6ベーシスポイント(bp)上昇の4.115%。

30年債利回りは4.4bp上昇の4.706%。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は急落して取引を終えた。エヌビディアなど人工知能(AI)関連株が大きく下げた。インフレ懸念に加え、米経済の健全性を巡る連邦準備理事会(FRB)当局者間の見解の相違から利下げ観測が後退した。

主要3指数の下落率はいずれも、約1カ月ぶりの大きさとなった。

FRB当局者の間ではここ数日、追加利下げに消極的な姿勢が強まっており、市場が織り込む12月の利下げ確率はほぼ五分五分まで低下している。

ロングボウ・アセット・マネジメントのジェイク・ダラーハイド最高経営責任者(CEO)は「根本的な問題は、関税インフレが一時的で一度きりのものなのかということだ。そうであろうとなかろうと、一部のFRB当局者が(金利を)引き下げたくない理由はそこにある」と指摘。「FRBが利下げしようがしまいが、どちらにしてもリスクがある」と語った。

AIを巡る楽観に押し上げられたバリュエーションへの懸念から、ここ数年好調だった銘柄の一部が売られた。

スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「経済情勢については不確実性が大きい。AIセクターで若干の調整が見られており、市場でローテーションが起こっている」と語った。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米政府債務拡大への懸念や連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ観測を背景に買いが先行したものの、長期金利上昇が重しとなり反落した。

米議会下院は12日、予算切れから先月1日に始まり過去最長となった政府閉鎖の解除に向け、来年1月末を期限とするつなぎ予算案の修正案を賛成多数で可決。トランプ大統領が同日、つなぎ予算の修正案に署名し、予算が成立した。政府活動再開に伴い債務が拡大するとの懸念が再燃し、リスク回避的に金が買われたほか、追加利下げの可能性が意識され、相場は一時4250ドル近辺まで上昇。ただ、買い一巡後は売りに転じ、マイナス圏に沈んだ。

米長期金利の指標である10年債利回りは一時4.1%台に上昇し、利子の付かない資産である金の売りを後押し。前日2%超高となった反動から利益確定や持ち高調整の売りも出やすかった。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、安値拾いの買いに支えられ、反発した。

供給過剰懸念を背景に、前日の相場は4%超安となった。これを受け、この日は安値拾いの買いが優勢となり、終日プラス圏を堅調に推移した。

米エネルギー情報局(EIA)が正午に発表した週間原油在庫統計(7日までの1週間)によると、原油在庫は前週比640万バレル増と、積み増し幅は市場予想(200万バレル増=ロイター調査)を上回った。ガソリン在庫は90万バレル減と、予想(190 万バレル減)を下回る取り崩し幅を記録。ディスティレート(留出油)も60万バレル減と、減少幅は予想(200万バレル減)を下回った。需給の緩みを示唆する結果となり、 統計発表後に市場は売りで反応。ただ、一時的な動きにとどまった。

一方、世界的な供給が過剰になるとの警戒感が根強く、相場の上げ幅は限られた。国際エネルギー機関(IEA)は13日発表した月報で、世界原油市場が2026年に日量4 09万バレルの供給過剰に陥るとの予想を示した。前月予想から引き上げた。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」や競合 する産油国の生産が増える一方で、需要は依然として鈍化するとの見方も示した。

NYMEXエネルギー:

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