トランプ米政権、日蘭に対中半導体規制強化で圧力-独自の輸出制限も
トランプ米政権は、中国の半導体産業への規制強化を主要同盟国に迫っている。同時に米国独自の半導体規制を厳格化する案も検討しているという。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。中国の技術力を制限する取り組みはバイデン前政権の下で開始されたが、拡大・強化を図る。
関係者によれば、トランプ政権の当局者らは、日本およびオランダの当局者らと最近会談し、東京エレクトロンとASMLホールディングのエンジニアが中国で行う半導体装置メンテナンス(保守・点検)の制限について協議した。
米政府がラムリサーチやKLA、アプライド・マテリアルズを含む自国の半導体装置メーカーに課す対中規制と同等の対応を主要同盟国に求める狙いがある。バイデン前政権でも優先事項と位置付けられていた。
報道を受け、東エレクが下げ幅を拡大し、一時前週末比4.4%安の2万4340円を付けたほか、KOKUSAI ELECTRICは同9.6%安の3279円まで売られた。
オルタス・アドバイザーズの日本株戦略責任者、アンドリュー・ジャクソン氏は、対中規制強化は「ある程度予想されていた」とした上で、米マイクロソフトが人工知能(AI)投資の規模を縮小する可能性を示唆する報道を受けて半導体関連株が既に下落していた中で、東エレクを含む中国関連株が売られる要因になったと説明した。
非公開情報を理由に別の関係者が匿名を条件に語ったところでは、特定の中国企業を対象とする制裁措置の協議も先にワシントンで行われた。人工知能(AI)向け半導体で圧倒的シェアを占める米エヌビディアの半導体製品について、トランプ政権の一部の当局者は、ライセンスなしで対中輸出できる数量と種類をさらに制限することを目指しているという。
トランプ政権の主要な連邦機関人事が決まる間、新たな規制という形で協議が結実するまで数カ月を要する可能性がある。ワシントンの新たな指導者に同盟国がより協力的になるかどうかもまだ分からない。バイデン前政権の高官2人よると、オランダとは中国での半導体装置メンテナンスの制限に関する合意に達していたが、トランプ氏が大統領選で勝利した後、オランダ側が難色を示した。
定期的な保守や修理が行われなければ、ASMLなどの製造装置は、半導体生産の厳しい要求に応える能力をすぐに失う恐れがある。
トランプ政権の国家安全保障会議(NSC)当局者の1人によれば、バイデン前政権のチームから他の幾つかの優先事項を委ねられ、新たなチームはそれを受け入れた。
バイデン政権の当局者は、中国のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)メーカー、長鑫存儲技術(CXMT)による米国技術の入手阻止を真剣に検討したが、最終的には日本の反対で前に進まなかった。
トランプ政権の一部当局者は、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)の主要な半導体製造パートナー、中芯国際集成電路製造(SMIC)への制限を強化したいと考えている。
ホワイトハウスの担当者にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。オランダの外国貿易省、日本の経済産業省の担当者はいずれもコメントを控えた。
原題:Trump Team Seeks to Toughen Biden’s Chip Controls Over China (1)(抜粋)