大谷がスポーツ賭博なんてやるわけないのに…米国社会が「水原一平事件」で"共犯説"を執拗に疑い続けたワケ(プレジデントオンライン)

日本のプロ野球以上に、米国メジャーリーグは野球賭博に厳しい。大阪経済大学の相原正道教授は「過去には、無罪であることが明らかになっても永久追放となったケースがある。大谷翔平選手も通訳と共犯でスポーツギャンブルに関与していれば同様の追放処分になっていた可能性があった」という――。(第2回) 【この記事の画像を見る】  ※本稿は、相原正道『スポーツと賭博』(新潮新書)の一部を再編集したものです。 ■「水原一平事件」が全米を巻き込む大騒動になったワケ  大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平氏は、大谷選手の口座から金銭を詐取した疑いで米当局に訴追され、禁錮4年9カ月と1700万ドル(約26億円)返済の判決を受けた。  水原氏は違法なブックメーカーを利用して賭博に金を注ぎ込み、莫大な負債を抱えたとされる。  このスキャンダルは、世界的スターである大谷翔平選手を巻き込んでいたということもあるが、米国メジャーリーグ(MLB)そのものの透明性に関わる一大事として、米国でも大きく報道されていた。  というのも、その歴史において、MLBは何度も賭博をめぐるスキャンダルに見舞われてきたからである。  その最大の例が、1919年、シカゴ・ホワイトソックスの選手たちが賭博の主導者から賄路をもらって試合に負けたという「ブラック・ソックス事件」である。  当初、シンシナティ・レッズとワールドシリーズで対戦したホワイトソックスは、圧倒的な優勢が伝えられていた。しかし、ホワイトソックスはワールドシリーズで敗退。この時に、ホワイトソックスの主力選手8名が金銭を授受、八百長試合をしたことが発覚した。

■全員無罪判決でも永久追放  白いソックスを名乗るチームの選手たちが、黒い疑惑の目を向けられることになってしまったのだ。  疑惑は裁判沙汰となったが、関わった選手たちには同情すべき事情もあり、1921年、裁判所は選手全員に無罪の判決を下した。  この判決に快哉を叫んだであろう選手やファンの姿が容易に想像できるが、喜びは束の間のこととなる。  この事件を契機にメジャーリーグはコミッショナー制度を導入したが、その初代コミッショナーに就任したランディス判事が鶴の一声で全員を永久追放にしてしまったからである。  ジョー・ジャクソン(別名:シューレス・ジョー)も、永久追放となった選手の一人だった。  ジョー・ジャクソンは、スパイクを履かず、裸足でプレーしたというエピソードからシューレス(裸足の)ジョーと呼ばれるようになった。  彼はベーブ・ルースやタイ・カップと並ぶメジャーリーグ初期のスター選手である。ジョー・ジャクソンは2001年にイチロー選手に破られるまで新人の年間最多安打記録(233安打)を保持していた。 ■球史に名を刻んだ「汚れた英雄」  1919年のシンシナティ・レッズとのワールドシリーズにおけるジョー・ジャクソンの打撃成績は12安打1ホームラン無失策、打率3割7分5厘は両チームでトップであった。八百長をしている選手とは思えない素晴らしい成績である。  無罪判決を受けたジョー・ジャクソンは永久追放となり、汚れた英雄として球史に名を刻まれることになった。  悔やんでも悔やみきれないファンの無念の心情は、映画「フィールド・オブ・ドリームス」の中では、主人公の父がブラック・ソックス事件で号泣したエピソードとして語られている。  イチロー選手は2025年1月21日にメジャーリーグの殿堂入りを果たした。  オリックスから2000年オフにポスティングシステムでシアトル・マリナーズに移籍。新人だった2001年に最多安打(242安打:ジョー・ジャクソンの233安打を更新)、首位打者(打率3割5分)、盗塁王(56盗塁)を獲得する大活躍で、アジア人で初めて最優秀選手に選ばれた。  2004年にはシーズン最多安打記録(262安打)を樹立。10年シーズンまで、史上初めて10年連続で200安打を記録した。

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