猛暑なのになぜ若者は長袖パーカー? フードの下に隠れた10代の真実を科学者が再考、米国

3年前に筆者は、一部のティーンエージャーたちが、夏の暑さの中でもフーディー(フード付きスウェット/パーカー)を着る理由を探る記事を書いた。この現象を科学的に説明できるのかどうかを考察したのだ。 記事を書いたきっかけは、自身の学問的背景に基づく関心、そして、10代の少年の父親としての好奇心だった。筆者の息子と彼の友人たちも、明らかにこの習慣を信奉しているのだ。 記事のなかでは、客観的かつ科学的な視点で、また共感をもって、この話題を取り上げるよう心がけた。 イアン・レックリトナーが『メル・マガジン(Mel Magazine)』に寄せたエッセー「Stop Bagging on People Who Wear Hoodies During Summer(夏にパーカーを着る人たちの悪口を言うのをやめよう)」を拠りどころにしつつ、筆者は紫外線や虫除け、身体イメージをめぐる不安、心地よい感情(「重い毛布効果」)、ポケットの利便性といった理由について検討した。 どの理由もそれらしく聞こえるものの、個人的には納得できるだけの科学的証拠が得られず、疑問と好奇心が残った。そして学術文献の検索を続けるうちに、新たな科学的データが目に止まった。 以前の記事で触れたように、重い毛布が、不眠症や自閉症スペクトラム障害、ストレスを抱える人にとってのサポートメカニズムになることについては、すでに多くのしっかりした研究がある。ハーバード大学のプレスリリースは、こうまとめている。「毛布が効果を発揮する仕組みは、おくるみにしっかり包まれた新生児が安心感から早く眠りにつくのと、おおむね同じであるとみられる。毛布は要するに心安らぐハグを模したものであり、理論上は神経のたかぶりを鎮めて落ち着きを得ることに役立つと考えられる」 レックリトナーは先の記事で、ティーンエージャーにとってのパーカーも同じ役目を果たしている、と主張した。 筆者の息子の世代が着ているのはふつうのパーカーだが、実は、「ヘビーウェイト(重い)パーカー」には独自の市場がある。RegnegadeCounseling.comというウェブサイトで、アナベル・デンマークは次のように論じている。「多くの研究から、ニューロダイバージェンス(Neurodivergence、非定型的な神経系を持つ状態)、不安、複雑な心的外傷を抱える大人に対し、均一に分布した重量の負荷がポジティブな効果をもたらすことが示されている。この習慣はセロトニンレベルを引き上げ、リラックスや安心感、集中力の向上をもたらすことがわかっている」 けれども筆者は、重いパーカーと感情的サポートの理論よりも、もっと掘り下げて考察したかった。レスター大学のヴァネッサ・ベック博士は、パーカーを着る10代についての誤ったナラティブを解体する、素晴らしいエッセーを著している。このなかで、同氏は次のように論じた。「これらの特徴の一部(貧困や民族など)は、フードをかぶった若者というステレオタイプに合致するものかもしれないが、ここには政府と社会が関心を向けるべき、はるかに広範な問題が潜んでいる」 ベック博士の主張に、筆者は共感した。父親として、(私の)息子が礼儀をわきまえた聡明な若者だと知っているが、黒いパーカーを着ているというだけで彼が偏見にさらされかねないことも承知しているからだ。

Forbes JAPAN
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